著者
菅原 然子
出版者
学校法人 自由学園最高学部
雑誌
生活大学研究 (ISSN:21896933)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.44-55, 2021 (Released:2021-04-21)
参考文献数
6

アーキビストとは、ある組織体の記録資料を管理し活用するための任務にあたる専門職員のことを指す。歴史ある私立学校の多くは、常に創立者の理念を継承し、その現代的な意味付けについて考察することでアイデンティティの確立を行っている。それは、教職員、在校生、保護者など、組織に属するすべてのメンバー内で共有され、検討されていく。本論は筆者の勤務先である私立自由学園をフィールドに、私立学校の組織運営に、アーキビストがどのようにかかわっていけるかを、親組織への資料活用活動を主軸に検討する。1921年、ジャーナリストである羽仁もと子・吉一夫妻によって創立された自由学園は、2021年に創立100周年を迎える。創立者を直接に知る卒業生が少なくなる中、本校教職員中卒業生は約半数となり、過去を知るための道具として学校アーカイブズズの必要性は増している。機関アーカイブズ、収集アーカイブズ1から成る、トータルアーカイブズを、どのように提供していくことが親組織のためになるのか、具体的方法も併せて検討する。なお本論は、同タイトルである2019年度アーカイブズ・カレッジ(国文学研究資料館主催)の修了論文を一部改訂したものである。