著者
佐藤 孝 舘道 芳徳 菅野 将史 増田 友之
出版者
日本門脈圧亢進症学会
雑誌
日本門脈圧亢進症学会雑誌 (ISSN:13448447)
巻号頁・発行日
vol.15, no.4, pp.344-347, 2009-12-31 (Released:2012-12-28)
参考文献数
12

脾臓は門脈系に介在する末梢最大のリンパ装置であるが,血液濾過装置としても機能している.その構造は,細網組織を骨格とする枠組みの中に白脾髄,周辺帯,赤脾髄が形成されている.ヒト脾臓では,周辺帯,赤脾髄で動脈末端は開放性に終わり,その特異な微小循環系は脾臓の持つ血液濾過・浄化作用と密接に関わっている.血管鋳型標本を用いた検討からは,部分的脾動脈塞栓術(PSE)における塞栓部位は内径1 mm 前後の脾柱動脈と考えられる.
著者
片桐 弘勝 新田 浩幸 菅野 将史 梅邑 晃 武田 大樹 安藤 太郎 天野 怜 佐々木 章
出版者
一般社団法人 日本移植学会
雑誌
移植 (ISSN:05787947)
巻号頁・発行日
vol.57, no.Supplement, pp.s318_2, 2022 (Released:2023-02-23)

【目的】歴史ある様々な脱感作療法の発展により、ABO不適合生体肝移植(ABO-I LDLT)における成績は向上してきている。当科におけるリツキシマブとγグロブリン(GG)を用いた、脾臓摘出と血漿交換を併用しないレジメンを用いた管理について報告することを目的とした。【対象と方法】2020年6月〜2022年5月の期間に施行したABO-I LDLT症例5例をレビューした。プロトコルは、2週間前のリツキシマブ (500mg/body)投与、13日前からPSL 5mg/dayとMMF 1500mg/dayの投与、術前日からFKの投与を行い、抗体価128倍より低下がみられない症例はリツキシマブの追加投与を行った。術中無肝期にGG (400mg/kg)と再灌流前にmPSL(500mg/body)投与。術後1日〜5日にGG投与を行い、抗体価が64倍以上となる症例では術後7日まで継続した。脾臓摘出、血漿交換は施行しなかった。【結果】男性2例、女性3例。原因疾患はアルコール2例、PBC 3例。平均年齢56.8歳、平均GRWR 1.10。ドナー特異抗体(DSA)は全例で陰性。初回抗体価中央値はIgM 128 (64-256)、IgG 256 (2-1024)、術後抗体価中央値はIgM 8 (4-64)、IgG 16 (2-128)であった。平均観察期間291日 (21-715)で、全例急性および抗体関連拒絶、胆管狭窄症など認めず経過良好である。【結語】リツキシマブ、高用量GGと免疫抑制剤を用いたプロトコルは、抗体価・DSAなどに留意した上で、安全で効果的な方法である可能性がある。