著者
菅野 素子
出版者
鶴見大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究課題は「イングランドの状況」という時代状況の言説と小説との関係をオイルショック後の1975年から英国が福祉国家としての経済社会構造の大変革を経験した1990年までの15年間にわたって研究したものである。「イングランドの状況」は17世紀後半に始まる産業化の弊害として生ずるネイションの分断に対する懸念の表明だが、現在では一般的にも特殊な意味でも使用される。そこで当該研究期間に発行された新聞雑誌などジャーナリズムにおける一般的な用法および同期間に出版された小説を調査の対象とし、その結果を比較検証した上で関連づけた。こうした再検討は当該期間における「イングランドの状況小説」の再構築につながった。