1 0 0 0 OA Gower as a Pacifist

著者
菅野 雅彦
出版者
愛知学泉大学
雑誌
愛知学泉大学コミュニティ政策学部紀要 (ISSN:13447939)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.7-23, 2004-12

14世紀のイギリスはあらゆる面で激動の世紀であった。ガワーが生まれて数年後、1337年にフランスとの間に戦争が始まった。この戦は「百年戦争」と呼ばれる。当時、イギリスには十字軍の余燼がまだ燻っていた。また、ローマ教会がローマとアヴィニヨンに分裂し、二人の法王が並立した。14世紀には、イギリスは三度も黒死病に襲われ人口の半分以上が死亡した。物価が高騰し、土地を捨てて逃走するものが多く出た。エドワード王が亡くなり、孫のリチャード二世が僅か十才で即位した。しかし、ガワーの期待は無残にも裏切られたので、彼はヘンリー四世に希望を繋ぎ平和を願って詩を書いた。