著者
菊池 八穂子 橋本 康弘
出版者
名古屋学院大学教職センター
雑誌
名古屋学院大学教職センター年報 = THE NAGOYA GAKUIN DAIGAKU KYOSHOKU CENTER NENPOU; The Annual Report of the Center of Teacher Training Course (ISSN:24326569)
巻号頁・発行日
no.1, pp.77-87, 2017-02-28

従来の憲法学習の多くは,憲法の三大原則を教え込んでしまう内容主義に陥っている。そのため,子どもたちになぜ憲法が必要なのか,という疑問を持たせることなく,受動的に憲法を受け入れさせてしまう。そして何よりも「憲法とは何か」という本質的な理解をさせることができない。初等教育における憲法学習の目的は憲法の内容を教えることではなく,民主主義国家の中での憲法の役割がわかるようにすることであると考える。民主主義国家における憲法の役割とは,国民の人権を保障するために政治に縛りをかけることである(憲法の制限規範性)。そしてこの政治に対する制限規範としての憲法の役割を理解させることのできる授業開発をすることが本研究の目的である。