著者
菊池 正一
出版者
順天堂医学会
雑誌
順天堂医学 (ISSN:00226769)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.157-165, 1988

私の行った研究の軌跡の概略を紹介し, 特に温熱環境条件のマウス免疫応答に及ぼす影響について述べた. 一連の実験結果を概括すると次の如くである.1) 免疫刺激直後にマウスを低温 (8℃), または高温 (36.5℃) の環境に移動すると免疫応答は低下するが, 低温順化後のマウスは対照群 (25℃) に比べ免疫応答に差がない.2) 高温への移動の場合, 環境温度35℃までの移動では免疫応答にほとんど影響がなく, 低温移動の場合は10℃まで影響が現れないが, 8℃-4℃では免疫応答が低下し, 更に2℃, 1℃への移動では再び対照群とほとんど差がなくなる.3) 免疫刺激後, 8℃または36.5℃に移動すると, 上述の通り免疫応答は低下するが, 1日4時間宛連日暴露では低下は見られず, 1日4時間1回, 2時間宛2回, 1時間宛4回と暴露時間一定でも暴露回数を増すほど免疫応答は逆に促進の傾向が見られた.4) 環境温熱条件の変化と免疫刺激との時間的関係の影響を観察したところ, 前者による免疫応答抑制効果の現れる時期は, 低温移動と高温移動とで明らかな差違が見られた. この点を説明するため, 環境温熱条件変化に起因する生理的適応の過程に"effective period"を, 免疫応答の一連の反応の過程に"susceptible period"を仮定し, この両者が一致した場合免疫応答の低下として現れるとの仮説をたてた.最後に, わが国の私立医科大学の経営に関して私見の一端を述べた.
著者
石田 裕美 菊池 正一
出版者
The Japanese Society of Nutrition and Dietetics
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.139-145, 1991 (Released:2010-04-30)
参考文献数
22
被引用文献数
1

成人女子8人 (21~25歳) を対象に, 強制選択3滴法と一対比較強制選択全口腔法を用いて, 塩化ナトリウム水溶液の検知閾値と認知閾値の測定を行い, 測定方法間の比較及び閾値の時刻による変動を検討した。1) 滴下法による測定の幾何平均値 (標準偏差) は, 検知閾値10.3(2.8)mmol/l, 認知閾値28.6(1.9)mmol/l, 全口腔法によるものは, 検知閾値4.9(2.5)mmol/l, 認知閾値16.0(1.7)mmol/lとなり, 両閾値とも全口腔法のほうが有意に低値を示した。2) 滴下法, 全口腔法ともに閾値の時刻による変動は認められなかった。3) 閾値の個人差が認められ, 測定方法間の Spearman の順位相関係数は, 検知閾値rs=0.92(p<0.01), 認知閾値rs=0.90(p<0.01)と有意であった。また測定方法間に, 検知閾値, 認知閾値共通の回帰式y=1.0x-0.3が得られた (x, 滴下法; y, 全口腔法, ともに対数変換値)。4) 方法別にみた両閾値の変動係数に有意差は認められなかった。
著者
石田 裕美 菊池 正一
出版者
The Japanese Society of Nutrition and Dietetics
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.139-145, 1991
被引用文献数
1

成人女子8人 (21~25歳) を対象に, 強制選択3滴法と一対比較強制選択全口腔法を用いて, 塩化ナトリウム水溶液の検知閾値と認知閾値の測定を行い, 測定方法間の比較及び閾値の時刻による変動を検討した。<br>1) 滴下法による測定の幾何平均値 (標準偏差) は, 検知閾値10.3(2.8)mmol/l, 認知閾値28.6(1.9)mmol/l, 全口腔法によるものは, 検知閾値4.9(2.5)mmol/l, 認知閾値16.0(1.7)mmol/lとなり, 両閾値とも全口腔法のほうが有意に低値を示した。<br>2) 滴下法, 全口腔法ともに閾値の時刻による変動は認められなかった。<br>3) 閾値の個人差が認められ, 測定方法間の Spearman の順位相関係数は, 検知閾値<i>r<sub>s</sub></i>=0.92(<i>p</i><0.01), 認知閾値<i>r<sub>s</sub></i>=0.90(<i>p</i><0.01)と有意であった。また測定方法間に, 検知閾値, 認知閾値共通の回帰式<i>y</i>=1.0<i>x</i>-0.3が得られた (<i>x</i>, 滴下法; <i>y</i>, 全口腔法, ともに対数変換値)。<br>4) 方法別にみた両閾値の変動係数に有意差は認められなかった。