著者
菊池 静香
出版者
同志社大学
雑誌
同志社政策科学研究 (ISSN:18808336)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.45-60, 2006-07

論説(Article)本稿は、学位論文「明治以降における河川にかかわる地域組織の成立と変遷に関する研究」のうち、明治期から現在までの河川にかかわるNPO活動の変遷を把握するため、基礎調査としてとりまとめた一つの章について、一部加筆したものである。一般に、NPOについては様々な分野において研究がなされている。しかし、河川にかかわるNPO活動については既往研究が限られており、明治期から現在までの組織活動を通史的に論じたものはほとんど見られない現状にある。そこで、河川をフィールドに公益活動を行なう市民活動や住民活動について、時代を象徴するような組織活動や全国的に影響を与えた運動などを整理し、時系列的な類型化を試みた。はじめに研究の目的、既往研究、考察の対象などについて述べる。次に、河川にかかわる環境運動について、運動内容により(1)河川改修促進運動、(2)反対運動、(3)自然環境保全運動の3つに大別し、それぞれ時代を象徴するようなNPO活動や全国的に影響を与えた運動などについて、その概要を整理する。そして、社会や河川施策に果たした意味を把握した上で、明治期から昭和初期、第二次世界大戦後から昭和40年代、昭和50年代から現在について類型化を行い、その特徴を明らかにした。