- 著者
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片倉 葵
菊竹 雪
楠見 清
- 出版者
- 一般社団法人 日本デザイン学会
- 雑誌
- 日本デザイン学会研究発表大会概要集
- 巻号頁・発行日
- vol.66, 2019
<p>近年,市場におけるパッケージデザインは話題性に着目し,流行を取り入れながら日々新しいものへと変わっているが,発売当初から変わらないパッケージデザインを使用し続けている菓子や食品が存在する.平成時代に入ってから急速にインターネットが普及し,パッケージデザインのヴィジュアルによる話題性が売り上げを左右する消費動向が見られるなか,どのようにしてロングセラー商品のパッケージデザインは当時のデザインを現代まで継承し続けているのか.<br/>時代や年月が経過しても変わらず多くの人に受け入れられている商品がロングセラー商品となるためには味やその商品が持っているバックグラウンドなど様々な要素が存在するが,そのうちの一つとして本研究では色の面積比率を取り上げ,数学的観点から普遍的なパッケージデザインのグラフィックに使用されている色の占有面積をグラフとして可視化する事によりデザインに潜む法則性を現代まで伝承する手法として確立しているのではないかという仮説を立てた.<br/>ロングセラー商品であり,世代を超えて認知度の高い「ボンタンアメ」を事例として取り上げて背景色とモチーフ色の色面積比率を算出した結果,箱の規格に関わらずある一定の面積比率を保っていることがわかった.また,発売当初のパッケージも同様に色面積比率を算出したところ,2018年現在販売されているパッケージと全く同じ色面積比であることがわかった.大正期に発売された他のロングセラーの食品も同様に検証し,グラフとして可視化した結果,メーカーによって違いはあるものの,一定の要素を継承する法則性が存在していることが証明された.<br/>話題性だけに捉われない視覚的要素の他に必要な要素に留意して,今後デザインの変更を行う事があった際に情勢や時代性に応じたマイナーチェンジやデザイン自体の大きな変更を行う,行わないという両方の選択肢の可能性を示すことを目指す.</p>