著者
菊谷 正人
出版者
法政大学イノベーション・マネジメント研究センター
雑誌
イノベーション・マネジメント (ISSN:13492233)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.47-84, 2023-03-31 (Released:2023-03-31)
参考文献数
31

1988年12月に消費税法によって公布され、1989年4月に施行された消費税は、油・酒類・タバコを除く広範な物品・サービスの供給に課される間接税である。わが国おける消費税は、製造・流通過程の各段階で課税され、かつ、その製品の最終消費者に担税させる附加価値税(VAT)でもある。VATとは、事業者が販売時に課税され、税務当局に売上税額を報告するが、事業者自身の購入品に支払う仕入税額を取り戻すことができる多段階一般消費税である。わが国では、消費税導入時から仕入税額控除の方法として会計帳簿に基づいて帳簿方式が採用されてきた。2023年10月1日には当該税額控除の方法は、インボイスに基づいて仕入税額を売上税額から控除するインボイス方式に変更される。インボイスは、課税事業者が他の課税事業者に課税物品を供給する際に交付する必要がある。本稿では、帳簿方式とインボイス方式における特徴と問題点が比較的に検討される。
著者
菊谷 正人
出版者
法政大学イノベーション・マネジメント研究センター
雑誌
イノベーション・マネジメント (ISSN:13492233)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.1-22, 2022-03-31 (Released:2022-03-31)
参考文献数
37

国際課税の主要な課題が国際的二重課税と国際的租税回避から国際的二重非課税にシフトした結果として、現在、「税源浸食と利益移転」(BEPS)が世界的に大きな政治・社会問題となっている。OECDは、多国籍企業のグローバル化と経済の電子化による国際的二重非課税に起因するBEPSに対処するために2015年10月に「BEPS最終報告書」を公表し、11月のG20財務大臣会議で採択されている。その後、OECDは経済のデジタル化から生じる税制上の課題に対処するために、「BEPSに関するOECD/G20包摂的枠組」(「BEPS包摂的枠組」)を2016年に設置し、BEPSに対する解決策の基礎を形成する可能性のある2つの柱の青写真に関する報告書を2020年10月に公表した。「第1の柱」は、すべての管轄地域間で公平な競争条件を確保し、課税権のより公平かつ効率的な配分を実現するために、事業利益に適用される課税根拠と利益配分に焦点を当てる。「第2の柱」では、国際的に営業している大規模事業者が少なくとも最低レベルの税金を支払うことを保証するために、最低法人税率の全世界的導入が提案されている。本稿では、「BEPS包摂的枠組」によって2020年10月に承認されたBEPSに関する2つの柱の青写真に関する報告書(「第1の柱」と「第2の柱」)のうち、「第2の柱」の内容・特徴および2021年10月のG20最終合意を解析した上で、国際課税の課題(BEPS)が理論的に探究される。
著者
菊谷 正人
出版者
法政大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

企業結合の先進国である英・米の会計基準および国際会計基準(IAS)または国際財務報告基準(IFRS)を検討するとともに、わが国の会計基準(「企業結合に係る会計基準」と「企業会計基準第22号 : 企業結合に関する会計基準」)との国際比較を行うことによって、企業結合会計基準の国際的収斂を確認することができた。企業結合会計として「パーチェス法」が強制適用されることになったが、のれんの会計処理として国際的には「減損テスト法」が基準化され、わが国では「20年以内規則的償却法」が基準化された。「フレッシュ・スタート法」は論議されるに止まり、制度化されるには至っていない。