著者
光宗 皇彦 松尾 和美 藤原 武 光宗 泉 赤木 公成 妹尾 悦雄 萱嶋 英三 安達 倫文 沼田 尹典 原 義人
出版者
一般社団法人 日本総合健診医学会
雑誌
日本総合健診医学会誌 (ISSN:09111840)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.367-371, 2000-12-30 (Released:2010-09-09)
参考文献数
13
被引用文献数
1

飲酒指導において, アルコールの1日量の減量や休肝日の設置を勧めるのが一般的であるが, 今回, 両者を統合した1週間の総飲酒量 (以下, 酒週量) の有用性について検討した。対象は, 人間ドック受診者14, 379名のうち, 腹部超音波検査により脂肪肝および胆石がなく, HBs抗原陰性, HCV抗体陰性であり, また肝疾患で治療中の者を除く1, 859名 (男性1, 296名, 平均年齢49.1歳±8.7歳, 女性563名, 平均年齢46.3±8.6歳) 。γ-GTPを肝機能異常の指標として, アルコールの1日量, 飲酒頻度, 酒週量との関係について, オッズ比, 相関係数等を用いて分析した。1週間に10合を超える飲酒群における肝機能異常のオッズ比は7.63 (95%信頼区間 (CI) 5.26~11.11) と高く, 1日2合超の飲酒群 (オッズ比6.41: 95%CI4.13~10.00) , 毎日飲酒群 (オッズ比5.10: 95%CI3.47~7.46) より高い傾向がみられた。γ-GTPと酒週量およびアルコール1日量, 飲酒頻度との相関係数 (γ) は, それぞれγ=0.423および0.400, 0.325であり, 酒週量がγ-GTPと一番の相関性を示した。1週間に10合以下ではあるが, 休肝日がないかあるいは1日2合を超えて飲んでいる群と, 1週間に10合を超えるが, 1日2合以下かつ休肝日も設けている群との比較では, 前者の方が, 1%以下の有意差をもってγ-GTPが低かった。γ-GTPは用量依存性に増加するので, たとえ休肝日を設けても, 総飲酒量が多ければ肝機能が悪化する可能性が高くなるので注意を要する。飲酒指導を行う場合, すべてにおいて制限を加えるのではなく, 1週間に10合以下と妥当な線を明示し, 「1日2合なら休肝日が2日必要ですが, 1合なら毎日飲めますよ。」などと具体的な数字を用いることにより, 受診者のquality of lifeを維持でき, しかも効果的ではないかと考える。
著者
光宗 皇彦 原 義人 松尾 和美 藤原 武 光宗 泉 赤木 公成 妹尾 悦雄 萱嶋 英三 安達 倫文 沼田 尹典
出版者
一般社団法人 日本総合健診医学会
雑誌
日本総合健診医学会誌 (ISSN:09111840)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.367-371, 2000

飲酒指導において, アルコールの1日量の減量や休肝日の設置を勧めるのが一般的であるが, 今回, 両者を統合した1週間の総飲酒量 (以下, 酒週量) の有用性について検討した。<BR>対象は, 人間ドック受診者14, 379名のうち, 腹部超音波検査により脂肪肝および胆石がなく, HBs抗原陰性, HCV抗体陰性であり, また肝疾患で治療中の者を除く1, 859名 (男性1, 296名, 平均年齢49.1歳±8.7歳, 女性563名, 平均年齢46.3±8.6歳) 。<BR>γ-GTPを肝機能異常の指標として, アルコールの1日量, 飲酒頻度, 酒週量との関係について, オッズ比, 相関係数等を用いて分析した。<BR>1週間に10合を超える飲酒群における肝機能異常のオッズ比は7.63 (95%信頼区間 (CI) 5.26~11.11) と高く, 1日2合超の飲酒群 (オッズ比6.41: 95%CI4.13~10.00) , 毎日飲酒群 (オッズ比5.10: 95%CI3.47~7.46) より高い傾向がみられた。<BR>γ-GTPと酒週量およびアルコール1日量, 飲酒頻度との相関係数 (γ) は, それぞれγ=0.423および0.400, 0.325であり, 酒週量がγ-GTPと一番の相関性を示した。<BR>1週間に10合以下ではあるが, 休肝日がないかあるいは1日2合を超えて飲んでいる群と, 1週間に10合を超えるが, 1日2合以下かつ休肝日も設けている群との比較では, 前者の方が, 1%以下の有意差をもってγ-GTPが低かった。γ-GTPは用量依存性に増加するので, たとえ休肝日を設けても, 総飲酒量が多ければ肝機能が悪化する可能性が高くなるので注意を要する。<BR>飲酒指導を行う場合, すべてにおいて制限を加えるのではなく, 1週間に10合以下と妥当な線を明示し, 「1日2合なら休肝日が2日必要ですが, 1合なら毎日飲めますよ。」<BR>などと具体的な数字を用いることにより, 受診者のquality of lifeを維持でき, しかも効果的ではないかと考える。