著者
池内 裕美 藤原 武弘 土肥 伊都子
出版者
日本社会心理学会
雑誌
社会心理学研究 (ISSN:09161503)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.27-38, 2000

"Extended self" is defined as "the aggregation of all obiects that people regard as a part of themselves; for example, their body parts, parents, friends, pet animals, job, social roles, etc." The purposes of this study were 1) to investigate the emotional reaction of involuntary loss of the extended self, that is, "material possessions" and 2) to examine the structure of "extended self" and its relation to the values attached to the possessions. We collected samples from the victims of the 1995 Hanshin Earthquake (209 university students) and the 1994 Northridge Earthquake (87 university students). The questionnaire asked them to describe what kind of favorite possessions they lost, the emotions when they lost them, the values they attached to the possessions and to what extent they regarded the external objects as a part of themselves. The results showed both similarities and differences between the victims of two earthquakes. The main findings were as follows: 1) Most victims of both earthquakes showed a similar emotional reaction, that is, "sadness" to the loss of important possessions. 2) For the values they attached to their lost possessions, "functional value," "emotional value," "self-presentational value," and "symbolic value of relationship" were extracted. 3) The more emotional value the victims of the Hanshin Earthquake gave to their possessions, on the other hand, the more self-presentational value the victims of the Northridge Earthquake gave to their possessions, the more the victims of both earthquake regarded their possession as a part of extended self.
著者
池内 裕美 藤原 武弘
出版者
日本社会心理学会
雑誌
社会心理学研究 (ISSN:09161503)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.92-102, 2000

The main purpose of this study was to investigate the effects of loss of material possession and social support network on QOL (Quality of Life). In this study, QOL was defined as "the subjective feeling of satisfaction or happiness" and was measured by "the grade of well-being" and "the state of mind and body health." Three hundreds and sixty-five victims of the Great Hanshin Earthquake(105 males, 256 females, and 4 undetermined sex) who lived at temporary houses in Nishinomiya City were asked to complete a questionnaire by personal interview method. The main findingswere as follows: (1) the victims who had lost their important possessions were higher in well-beingscore than ones that did not. On the other hand, the victims who had not lost them were higher inmind and body health score than ones that did. (2) The number of social support network had no effect on well-being score. But the victims who had a large number of social support network stended to be higher in mind and body health score than ones that had a small number of them.
著者
池内 裕美 藤原 武弘
出版者
日本社会心理学会
雑誌
社会心理学研究 (ISSN:09161503)
巻号頁・発行日
vol.24, no.3, pp.169-178, 2009

In life, people experience the loss of people they cherish, possessions, familiar environments, health, and of other things. The main purpose of this study was to investigate the psychological recovery process from loss, focusing on the differences among recovery processes by the type of loss, and the determinants of the length of recovery. Three hundred and ninety-seven participants (162 males, 235 females) who lived in Nishinomiya City were asked to complete a questionnaire by the mail-survey method. The main findings were as follows: (1) The differences among the recovery processes and the number of stages in the recovery process depended on the type of loss. (2) The recovery length was mainly affected by the type of loss, the existence of anticipatory grief, and the difference in age. It was indicated that people (especially elderly people) who did not have any anticipatory grief needed more time to recover. Furthermore, people needed more time to recover from physical loss and separation compared to other types of loss.
著者
岡本 卓也 藤原 武弘 野波 寛 加藤 潤三
出版者
日本グループ・ダイナミックス学会
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.1-16, 2008 (Released:2008-11-14)
参考文献数
43
被引用文献数
1

本研究の目的は,マクロレベルでの集団間の関係性を測定,図示,解析することである。そのため,ある集団やそのメンバーに対して人びとが抱いているイメージ,情報,認知を元にして集団と集団の境界を決定しようとする集団共有イメージ法を提案する。従来の集団研究では,マクロな関係である集団間の関係性を表す際,ミクロデータを代用することが多かった。そこで,対象集団に関するイメージをもとに対応分析を行うことで,マクロレベルでの集団間の関係性の分析を試みた。大学生274名を対象にSIMINSOC(広瀬,1997)を実施した結果,イメージの類似性による集団間の関係性の認知マップが描かれた。またその座標を元にクラスター分析を行うことで集団間の境界線が抽出された。さらに小杉・藤原(2004)の等高線マッピングを応用することで,集団間の関係性(マクロデータ)と個人の好意度(ミクロデータ)の関係を分析した。これらの方法によって測定された集団間の関係性について,好意度や交流時間などのその他の指標との対応を検討した結果,本研究で用いた手法は十分な妥当性を持つものと判断された。最後にこの分析手法の成果や今後の展望について議論した。
著者
光宗 皇彦 松尾 和美 藤原 武 光宗 泉 赤木 公成 妹尾 悦雄 萱嶋 英三 安達 倫文 沼田 尹典 原 義人
出版者
一般社団法人 日本総合健診医学会
雑誌
日本総合健診医学会誌 (ISSN:09111840)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.367-371, 2000-12-30 (Released:2010-09-09)
参考文献数
13
被引用文献数
1

飲酒指導において, アルコールの1日量の減量や休肝日の設置を勧めるのが一般的であるが, 今回, 両者を統合した1週間の総飲酒量 (以下, 酒週量) の有用性について検討した。対象は, 人間ドック受診者14, 379名のうち, 腹部超音波検査により脂肪肝および胆石がなく, HBs抗原陰性, HCV抗体陰性であり, また肝疾患で治療中の者を除く1, 859名 (男性1, 296名, 平均年齢49.1歳±8.7歳, 女性563名, 平均年齢46.3±8.6歳) 。γ-GTPを肝機能異常の指標として, アルコールの1日量, 飲酒頻度, 酒週量との関係について, オッズ比, 相関係数等を用いて分析した。1週間に10合を超える飲酒群における肝機能異常のオッズ比は7.63 (95%信頼区間 (CI) 5.26~11.11) と高く, 1日2合超の飲酒群 (オッズ比6.41: 95%CI4.13~10.00) , 毎日飲酒群 (オッズ比5.10: 95%CI3.47~7.46) より高い傾向がみられた。γ-GTPと酒週量およびアルコール1日量, 飲酒頻度との相関係数 (γ) は, それぞれγ=0.423および0.400, 0.325であり, 酒週量がγ-GTPと一番の相関性を示した。1週間に10合以下ではあるが, 休肝日がないかあるいは1日2合を超えて飲んでいる群と, 1週間に10合を超えるが, 1日2合以下かつ休肝日も設けている群との比較では, 前者の方が, 1%以下の有意差をもってγ-GTPが低かった。γ-GTPは用量依存性に増加するので, たとえ休肝日を設けても, 総飲酒量が多ければ肝機能が悪化する可能性が高くなるので注意を要する。飲酒指導を行う場合, すべてにおいて制限を加えるのではなく, 1週間に10合以下と妥当な線を明示し, 「1日2合なら休肝日が2日必要ですが, 1合なら毎日飲めますよ。」などと具体的な数字を用いることにより, 受診者のquality of lifeを維持でき, しかも効果的ではないかと考える。
著者
藤原 武男
出版者
独立行政法人国立成育医療研究センター
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009 (Released:2009-04-01)

本研究は、日本において養育者に乳児の泣きに関する正しい知識と適切な対応に関する教材を用いて介入することにより、虐待予防に必要な知識と行動の変容があるかどうかを、ランダム化比較試験により検証した。その結果、介入群は、泣きの知識および突発的な揺さぶりを防ぐと考えられる行動を有意に多くとっていた。日本においても、この教材により乳児の虐待を予防できることが示唆された。
著者
藤原 武弘 田頭 伸子
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.75-79, 1984-06-30 (Released:2010-07-16)
参考文献数
14
被引用文献数
2 4

The purpose of this study is to answer two problems. (1) Which attribute is the most important in the similarity judgments of classical music? (2) Are there differences in the salience of particular dimensions between the music students and the nonmusic students? Forty female subjects were asked to rate nine musical stimuli on semantic differential scales. They were asked again to rate similarity among all possible pairs of the same nine stimuli. Individual difference multidimensional scaling (ALSCAL) yielded two common stimulus dimensions, which were interpreted as affective dimension and historical dimension. There were significant differences between the music students and the nonmusic students in the weight of these dimensions. Perceptual judgments of nonmusic students are dominated only by affective dimension, while those of music students judgments are dominated by both affective and historical dimensions.
著者
林 幸史 藤原 武弘
出版者
日本グループ・ダイナミックス学会
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.17-31, 2008 (Released:2008-11-14)
参考文献数
63
被引用文献数
3

本研究の目的は,日本人海外旅行者の観光動機の構造を明らかにし,訪問地域・旅行形態・年令層による観光動機の違いを比較することである。出国前の日本人旅行者1014名(男性371名,女性643名)を対象に観光動機を調査した。主な結果は以下の通りである。(1)観光動機は「刺激性」「文化見聞」「現地交流」「健康回復」「自然体感」「意外性」「自己拡大」の7因子構造であった。(2)観光動機は,年令を重ねるにつれて新奇性への欲求から本物性への欲求へと変化することが明らかになった。(3)アジアやアフリカ地域への旅行者は,今までにない新しい経験や,訪問国の文化に対する理解を求めて旅行をする。一方,欧米地域への旅行者は,自然に触れる機会を求めて旅行をすることが明らかになった。(4)個人手配旅行者は,見知らぬ土地という不確実性の高い状況を経験することや,現地の人々との交流を求めて旅行をする。一方,主催旅行者は,安全性や快適性を保持したままの旅行で,外国の文化や自然に触れることを求めて旅行をすることが明らかになった。これらの結果を踏まえ,観光行動の心理的機能について考察した。
著者
藤原 武男 高松 育子
出版者
国立保健医療科学院
雑誌
保健医療科学 (ISSN:13476459)
巻号頁・発行日
vol.59, pp.330-337, 2010-12

これまでにわかっている研究によれば,自閉症の環境要因と考えられたのは(1)妊娠初期の喫煙,(2)水銀,(3)有機リン酸系農薬,(4)ビタミン等の栄養素,(5)親の高齢,(6)妊娠週数,(7)出産時の状況(帝王切開等),(8)夏の妊娠,(9)生殖補助医療による妊娠,が考えられた.一方,関連がないと考えられる環境要因は(1)妊娠中のアルコール,(2)PCB,(3)鉛,(4)多環芳香族,(5)社会経済的地位,(6)ワクチン,(7)低出生体重,であった.これらは再現性のあるものもあればないものもあり,さらなる研究が必要である.その意味で,日本で実施される大規模な出生コホートであるエコチル調査に期待したい.
著者
野尻 亘 兼子 純 藤原 武晴
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
地理学評論 Series A (ISSN:18834388)
巻号頁・発行日
vol.85, no.1, pp.1-21, 2012-01-01 (Released:2016-12-01)
参考文献数
41

日本における自動車部品の中・長距離のジャスト・イン・タイムによる物流システムは,特にオイルショック以降,多品種生産,フレキシブルな生産への移行,通信情報システムの発達,完成車工場立地の広域化を背景として,完成車メーカー,部品サプライヤー,その物流子会社やサード・パーティー・ロジスティクス(3PL)相互の協力により形成された.各部品サプライヤーからミルクラン方式で集荷する集散地の集荷物流センターと,完成車工場近くで,部品の仕分け・定時多回納入を行う配送納入センターを設け,その間は大型車で幹線集約輸送をする.それは,積合わせによる幹線輸送における規模の経済の実現と,きめ細かな仕分けや多頻度配送を可能とする範囲の経済を同時に実現するフレキシブルな物流システムである.各部品メーカーが物流コストを負担し,多様な物流が展開している本田技研熊本製作所と,完成車メーカー側が物流コストを負担して,3PLを元請にして集荷している三菱自動車水島製作所の具体的事例について比較,考察した.
著者
池内 裕美 藤原 武弘
出版者
人間・環境学会
雑誌
MERA Journal=人間・環境学会誌 (ISSN:1341500X)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.1-10, 1998-10-30

人は、自分自身の精神活動や身体のみならず、物理的環境内に存在する外的対象物をも、「自己」の一部、すなわち「拡張自己」として捉えている。拡張自己とは、「自分の一部であると認知、同定している全てのモノの集合体」と定義されており、対象物を拡張自己の一部とみなすことが、我々を所有物に固着させる一つの理由として考えられる。本研究では、この拡張自己の一つである「物的所有物」に焦点を当て、自己に対するモノの持つ意味や重要性を、特に「非自発的喪失」という点から探求している。具体的には、1995年1月17日に起こった阪神大震災の芦屋市在住の被災者を対象に、郵送法により調査した。質問紙は、どのような大切なモノの喪失があったのか、なぜそのモノが大切だったのか、地震によりどの程度のストレスが生じたのか、さらにはデモグラフィック要因などの項目により構成されていた。その主な結果は、以下のようなものである。1)最も重要な喪失物については、男女共に「食器」とする結果が得られた。2)大切と思う理由は、男女で異なっていた。男性は「有用性」と回答した割合が高いのに対し、女性は「思い出」と回答した割合が高かった。3)所有物の喪失のない被災者に比べて、喪失のある被災者は地震によるストレスが大きかった。