著者
片倉 浩理 畠中 陸郎 山下 直己 佐藤 寿彦 岩切 章太郎 尾崎 良智 長井 信二郎 岡崎 強 塙 健 松井 輝夫 美崎 幸平 桑原 正喜 松原 義人 船津 武志 池田 貞雄
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
雑誌
気管支学 (ISSN:02872137)
巻号頁・発行日
vol.21, no.4, pp.281-284, 1999-05-25 (Released:2016-10-15)
参考文献数
14

症例は41歳, 男性。脇差しにより頸部正中刺創を受け, 近医で皮膚縫合を施行されたが, 頸部腫脹, 発声障害が進行するため, 受傷後約18時間後に当院を受診した。著明な皮下気腫を認め, 気管の損傷を疑い気管支鏡を施行した。第1気管軟骨輪に約2cm, 同レベルの膜様部に約1cmの損傷を認めた。同検査中再出血により緊急手術を施行した。出血は甲状腺左葉内の動脈性出血であり縫合止血した。食道の損傷はなかった。気管軟骨輪および膜様部の縫合を行った。術後経過は良好で退院したが, 肉芽形成の可能性もあり, 経過観察が必要である。
著者
清水 郷美 望月 雅裕 梅下 和彦 岡本 裕智 北澤 隆宏 後藤 玄 枝元 洋 鎌田 貴志 西原 義人 畠山 和久
出版者
日本毒性学会
雑誌
日本トキシコロジー学会学術年会 第34回日本トキシコロジー学会学術年会
巻号頁・発行日
pp.5102, 2007 (Released:2007-06-23)

【目的】SD系〔Crl:CD (SD)〕SPFラットにフェノバルビタール(PB)を2週間反復経口投与することにより、血液凝固時間が延長した。そこで我々は、PB投与による血液凝固時間への経時的変化について検討するとともに、ビタミンK2を併用投与する群を設け、PB投与による血液凝固時間の延長に対するビタミンK2(Vt.K2)の影響について検討した。 【方法】PBの投与量は2週間反復投与により肝逸脱酵素の上昇が認められなかった100 mg/kg/日とし、投与1、2、3及び7日の翌日にPT、APTT、血漿中フィブリノーゲン、トロンボテスト(TT)及びAntithrombin III(AT-III)濃度を測定した。同時に肝臓について総Cytochrome P450(P450)含量の測定とウエスタンブロット法でCYP2Bの発現を確認した。更に、VtK2(30 mg/kg)を7日間併用投与する群とPB投与7日目に単回併用投与する群を設け、上記項目について測定した。なお、投与14日目の成績はPBの2週間反復投与による結果を使用した。 【結果及び考察】PB投与により、P450含量は投与回数に伴って増加傾向を示した。凝固系パラメータでは投与1日よりAPTTの延長、投与2日よりAT-III濃度の増加、投与7日よりTTの延長がみられた。Vt.K2の単回及び反復併用投与群では凝固時間の延長は認められなかった。したがって、PB投与によるAPTTの延長はVtKの付加により改善された。なお、PB投与初期にはTTの延長は認められず、PB投与によるAPTTの延長はVt.Kの関与する凝固因子の減少に加えてAT-III濃度の増加が関与している可能性が示唆された。
著者
栃原 義人 岩本 一人
出版者
Japanese Society for Oral Health
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.16, no.3, pp.125-128, 1966 (Released:2010-10-27)
参考文献数
5

Relation between commencement of menstruation and tooth development in ninety-one girls in a primary school in Kumamoto City who were in the 6th Grade in 1965 was studied, with resultsas follows:1. In early cases, menstruation begins at 9 years and 11 months of age; menarche increases from about 11 years and occurs in large numbers during 11 years and 10 months and 12 years and 3 months. That is, 34.07% of the girls had the menses before they finish primary school.2. Dental condition at the time of menarche was as follows:a) In general three or more second molars had erupted before menarche. Its percentage was 77.41%. At least the bilateral second molars on the lower jaw had erupted before the first visit of the menses in all the case.b) Presence of remaining deciduous teeth was investigated, with the result that 80.65% of the subjects had no deciduous teeth in their jaws. Even if there was any, it was supposed to be not more than one.It was considered that, along with the growth in stature, degree of tooth development may be used as an indication of the time of menarche.
著者
深石 貴大 南 勲 松田 祐輔 原 義人 吉本 貴宣
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.61, no.5, pp.323-329, 2018-05-30 (Released:2018-05-30)
参考文献数
19

症例は26歳男性.2002年に自閉症スペクトラムのため内服開始するも改善せず,2010年より清涼飲料水を毎日6-12 L摂取していた.精神疾患治療薬の調整で飲水量は減少傾向だったが,2016年7月,体重減少から高血糖が判明し当院紹介となった.随時血糖377 mg/dL,HbA1c 16.9 %,尿中ケトン体陽性であり清涼飲料水ケトーシスの診断で入院,インスリン療法を開始した.退院後は清涼飲料水の多飲なく血糖値は正常化し,糖尿病薬は早期に離脱できたものの1日3 L程度の多飲は遷延した.後に中枢性尿崩症の合併が判明し,デスモプレシンにより飲水量の更なる減少を認めた.長期の多飲により抗利尿ホルモン分泌低下を来す病態が報告されている.特に清涼飲料水を多飲している症例において,多飲の適切な診断・治療は糖尿病の発症予防および改善に寄与する可能性があり重要と考えられた.
著者
齊藤 隆夫 岩間 永子 谷田部 隆 合原 義人
出版者
茨城県畜産センター
巻号頁・発行日
no.43, pp.30-31, 2010 (Released:2012-12-06)

子牛の下痢と増体に関して有益とされる制限哺乳を行った。試験区は3ヶ月齢での離乳まで哺乳時間を朝夕15分ずつに制限した制限哺乳区,対照区は離乳まで母子が同居する自然哺乳区とし,水,乾草,人工乳は自由摂取とした。各区6頭での結果は制限哺乳区が自然哺乳区より下痢の発生が少なく,治癒も早い傾向であった。また体重の増加も有意差はないが制限哺乳区で大きい傾向であった。
著者
山田 典一 松田 明正 荻原 義人 辻 明宏 太田 覚史 石倉 健 中村 真潮 伊藤 正明
出版者
日本静脈学会
雑誌
静脈学 (ISSN:09157395)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.233-238, 2012-08-25 (Released:2012-08-30)
参考文献数
9

●要 約:弾性ストッキングは静脈血栓塞栓症の理学的予防法の一つとして汎用されており一定の予防効果が報告されている.他の予防法と比較しても,出血性合併症のリスクがなく,簡便で比較的安価であることより,使用しやすいという利点がある.わが国でも以前より静脈血栓塞栓症予防法の一つとして用いられていたが,2004年の肺血栓塞栓症/深部静脈血栓症(静脈血栓塞栓症)予防ガイドラインの公表と,さらに同時期に肺血栓塞栓症予防管理料が保険診療報酬改定で認定されたことを契機に急速にその使用頻度が増加した.しかしながら,多くの前向き大規模研究が行われている薬物的予防法と比較すると未だ十分なエビデンスがあるとは言い難い.本項では,静脈血栓塞栓症に対する一次予防法としての弾性ストッキングの現時点でのエビデンスをレビューする.
著者
谷田部 隆 岩間 永子 合原 義人
出版者
茨城県畜産センター
雑誌
茨城県畜産センター研究報告 (ISSN:13466488)
巻号頁・発行日
no.43, pp.26-29, 2010-11

水田での生育に適した耐湿性牧草を選定するため,耐湿性草種としてレッドトップ,リードカナリーグラスの2品種(ベンチャー,パラトン) ,対照草種としてオーチャードグラス(普通種)とトールフェスク(普通種)をほ場に播種造成し,生産量を調査したところ,レッドトップとリードカナリーグラスは対照草種と同様の生産量を示し,耐湿性草種間では生産量に差は見られなかった。耐湿性草種の栽培技術を解明するため,ほ場に耕起造成と不耕起造成の処理区を設け,レッドトップとリードカナリーグラス(ベンチャー)の生産量等を調査した. レッドトップは,不耕起による造成でも十分に定着し,リードカナリーグラスでは,耕起鎮圧を行っと定着が早く進行することがわかった。
著者
光宗 皇彦 松尾 和美 藤原 武 光宗 泉 赤木 公成 妹尾 悦雄 萱嶋 英三 安達 倫文 沼田 尹典 原 義人
出版者
一般社団法人 日本総合健診医学会
雑誌
日本総合健診医学会誌 (ISSN:09111840)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.367-371, 2000-12-30 (Released:2010-09-09)
参考文献数
13
被引用文献数
1

飲酒指導において, アルコールの1日量の減量や休肝日の設置を勧めるのが一般的であるが, 今回, 両者を統合した1週間の総飲酒量 (以下, 酒週量) の有用性について検討した。対象は, 人間ドック受診者14, 379名のうち, 腹部超音波検査により脂肪肝および胆石がなく, HBs抗原陰性, HCV抗体陰性であり, また肝疾患で治療中の者を除く1, 859名 (男性1, 296名, 平均年齢49.1歳±8.7歳, 女性563名, 平均年齢46.3±8.6歳) 。γ-GTPを肝機能異常の指標として, アルコールの1日量, 飲酒頻度, 酒週量との関係について, オッズ比, 相関係数等を用いて分析した。1週間に10合を超える飲酒群における肝機能異常のオッズ比は7.63 (95%信頼区間 (CI) 5.26~11.11) と高く, 1日2合超の飲酒群 (オッズ比6.41: 95%CI4.13~10.00) , 毎日飲酒群 (オッズ比5.10: 95%CI3.47~7.46) より高い傾向がみられた。γ-GTPと酒週量およびアルコール1日量, 飲酒頻度との相関係数 (γ) は, それぞれγ=0.423および0.400, 0.325であり, 酒週量がγ-GTPと一番の相関性を示した。1週間に10合以下ではあるが, 休肝日がないかあるいは1日2合を超えて飲んでいる群と, 1週間に10合を超えるが, 1日2合以下かつ休肝日も設けている群との比較では, 前者の方が, 1%以下の有意差をもってγ-GTPが低かった。γ-GTPは用量依存性に増加するので, たとえ休肝日を設けても, 総飲酒量が多ければ肝機能が悪化する可能性が高くなるので注意を要する。飲酒指導を行う場合, すべてにおいて制限を加えるのではなく, 1週間に10合以下と妥当な線を明示し, 「1日2合なら休肝日が2日必要ですが, 1合なら毎日飲めますよ。」などと具体的な数字を用いることにより, 受診者のquality of lifeを維持でき, しかも効果的ではないかと考える。
著者
吉村 誉史 張 吉天 大畑 恵資 伊東 真哉 松原 義人 寺田 泰二
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.532-537, 2014-05-15 (Released:2014-06-13)
参考文献数
11

肺ヒストプラズマ症は国内ではまれな真菌感染症であるが,輸入真菌症としてその報告が近年散見されるようになっている.今回我々は,中米滞在後の帰国時健診で発見された肺ヒストプラズマ症の1手術例を経験したので報告する.症例は55歳,女性.海外ボランティアとして2年間ホンジュラスに滞在し,帰国時健診で胸部異常陰影を指摘され,当科を受診した.胸部CTでは左肺下葉胸膜に接して26 mm大の腫瘤を認めた.気管支鏡検査では診断に至らず,胸腔鏡下左肺下葉部分切除術を施行した.病理組織所見は,同心円性層状構造がみられる類円形腫瘤で凝固壊死組織からなっていた.Grocott染色では腫瘤中心部に卵円形真菌を認め,肺ヒストプラズマ症と診断した.
著者
平田 智之 井上 敬介 古川 大介 佐伯 壮一 塚原 義人
出版者
公益社団法人 日本生体医工学会
雑誌
生体医工学 (ISSN:1347443X)
巻号頁・発行日
vol.59, no.6, pp.169-173, 2021-12-10 (Released:2022-02-05)
参考文献数
10

In recent years, the regenerative treatment of osteoarthritis (OA) by transplantation of autologous cultured cartilage has been developed, but biomechanical diagnostic evaluation of cartilage has not yet been performed in the follow-up after transplantation as well as typical OA diagnostic treatment. In this study, we constructed an Optical Coherence Doppler Velocigraphy (OCDV) system based on low coherence interferometer (OCT) and a compression tester as loading device, which can provide micro-tomographic visualization of tissue deformation and joint fluid flow inside cartilage tissue. The constructed system was applied to not only the normal sample of porcine knee cartilage but also the simulated degenerative one by collagenase enzyme treatment for 2 hours. As experimental results, during compression period, the both cartilage samples in the middle layer were observed to move toward surface, generating the compressive strain further in superficial layer. Doppler velocity of the degenerated cartilage was detected to be about 50µm/sec in the middle layer, which was twice as high as that of normal cartilage. Just after stress relaxation, Doppler velocity decreased immediately to be less than 5µm/sec in the normal cartilage, whereas are keeping about 10µm/sec in the degenerated one. These are considered to be due to the decrease in biomechanical properties, i. e. visco-elasticity, of degenerated cartilage. In conclusions, the proposed method can discriminate quantitatively between normal and OA cartilage from the spatiotemporal change of the detected Doppler velocity, in the virtue of revealing microscopic tissue deformation and joint fluid flow with high spatio-temporal resolution, therefore OCDV has an effective potential as a real-time diagnostic imaging system.
著者
平山 耕三 糸原 義人 山本 晴彦
出版者
農業生産技術管理学会
雑誌
農業生産技術管理学会誌 (ISSN:13410156)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.49-62, 2014-09-15 (Released:2019-04-11)

農家は,日々同じ作業を行っているにもかかわらず,高級な牛肉を生産する農業者と,そうでない農業者がいる.本稿では農家の行動や考え方に注目し,農作業の内容や農業以外での活動について調査を実施した.その結果,次のことが明らかになった.技術は日常作業と不定期の作業の組み合わせで成り立っており,日常作業管理においては,「清掃作業」であり,不定期管理においては「敷き料交換作業」が大きく影響していることに統計的有意性が見られた.これらの作業を重点的に行うかどうかより,上物生産の差となって現れている.また,管理要因では,牛体の管理,飼養環境が上物生産に影響していることに統計的な有意差が見られた.農家の主体性については,営農意欲と獣医師に任せず自ら投薬する自主性,専門誌購読など知識欲などに統計的な有意差がみられた.このことより肥育経営は,営農意欲を持って,専門知識の獲得活動等に積極的に取り組むとともに,牛舎環境,飼養環境等の向上により牛に快適な環境を与えることで上物率が高くなる傾向が高い.
著者
光宗 皇彦 原 義人 松尾 和美 藤原 武 光宗 泉 赤木 公成 妹尾 悦雄 萱嶋 英三 安達 倫文 沼田 尹典
出版者
一般社団法人 日本総合健診医学会
雑誌
日本総合健診医学会誌 (ISSN:09111840)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.367-371, 2000

飲酒指導において, アルコールの1日量の減量や休肝日の設置を勧めるのが一般的であるが, 今回, 両者を統合した1週間の総飲酒量 (以下, 酒週量) の有用性について検討した。<BR>対象は, 人間ドック受診者14, 379名のうち, 腹部超音波検査により脂肪肝および胆石がなく, HBs抗原陰性, HCV抗体陰性であり, また肝疾患で治療中の者を除く1, 859名 (男性1, 296名, 平均年齢49.1歳±8.7歳, 女性563名, 平均年齢46.3±8.6歳) 。<BR>γ-GTPを肝機能異常の指標として, アルコールの1日量, 飲酒頻度, 酒週量との関係について, オッズ比, 相関係数等を用いて分析した。<BR>1週間に10合を超える飲酒群における肝機能異常のオッズ比は7.63 (95%信頼区間 (CI) 5.26~11.11) と高く, 1日2合超の飲酒群 (オッズ比6.41: 95%CI4.13~10.00) , 毎日飲酒群 (オッズ比5.10: 95%CI3.47~7.46) より高い傾向がみられた。<BR>γ-GTPと酒週量およびアルコール1日量, 飲酒頻度との相関係数 (γ) は, それぞれγ=0.423および0.400, 0.325であり, 酒週量がγ-GTPと一番の相関性を示した。<BR>1週間に10合以下ではあるが, 休肝日がないかあるいは1日2合を超えて飲んでいる群と, 1週間に10合を超えるが, 1日2合以下かつ休肝日も設けている群との比較では, 前者の方が, 1%以下の有意差をもってγ-GTPが低かった。γ-GTPは用量依存性に増加するので, たとえ休肝日を設けても, 総飲酒量が多ければ肝機能が悪化する可能性が高くなるので注意を要する。<BR>飲酒指導を行う場合, すべてにおいて制限を加えるのではなく, 1週間に10合以下と妥当な線を明示し, 「1日2合なら休肝日が2日必要ですが, 1合なら毎日飲めますよ。」<BR>などと具体的な数字を用いることにより, 受診者のquality of lifeを維持でき, しかも効果的ではないかと考える。
著者
片倉 浩理 畠中 陸郎 山下 直己 佐藤 寿彦 岩切 章太郎 尾崎 良智 長井 信二郎 岡崎 強 塙 健 松井 輝夫 美崎 幸平 桑原 正喜 松原 義人 船津 武志 池田 貞雄
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
雑誌
気管支学 (ISSN:02872137)
巻号頁・発行日
vol.21, no.4, pp.281-284, 1999
参考文献数
14

症例は41歳, 男性。脇差しにより頸部正中刺創を受け, 近医で皮膚縫合を施行されたが, 頸部腫脹, 発声障害が進行するため, 受傷後約18時間後に当院を受診した。著明な皮下気腫を認め, 気管の損傷を疑い気管支鏡を施行した。第1気管軟骨輪に約2cm, 同レベルの膜様部に約1cmの損傷を認めた。同検査中再出血により緊急手術を施行した。出血は甲状腺左葉内の動脈性出血であり縫合止血した。食道の損傷はなかった。気管軟骨輪および膜様部の縫合を行った。術後経過は良好で退院したが, 肉芽形成の可能性もあり, 経過観察が必要である。
著者
古川 幸穂 寺本 晃冶 後藤 正司 元石 充 岩切 章太郎 藤本 利夫 岡崎 強 松倉 規 塙 健 山下 直己 松井 輝夫 桑原 正喜 松原 義人
出版者
特定非営利活動法人日本呼吸器外科学会
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.17, no.4, pp.524-528, 2003-05-15
参考文献数
7
被引用文献数
5 1

pleomorphic carcinomaの1例を経験した.症例は64歳.女性. 2000年9月頃から咳嗽が出現し,胸部レントゲン写真で,左下葉の著明な含気低下と左下葉に腫瘍陰影が認められ,2001年1月当科紹介人院となった.胸部CT写真では,左S^6に結節陰影が認められ,左主気管支がほぼ閉塞していた.気管支鏡検査では,左主気管支を閉塞する白色ポリープ状の腫瘤を認めた.鉗子生検を施行したが,正常気管支粘膜のみで確定診断は得られなかった.画像所見と内視鏡所見から肺癌を疑い,左肺全摘除術を施行した.切除標本の肉眼的所見は,腫瘍は左下葉から発生し,左下葉支から左主気管支,左上葉支までポリープ状に進展していたが,気管支粘膜には浸潤していなかった.病理組織学的所見では,腫瘍の大部分は腺癌であり,腫瘍の4分の1にspindle cell, giant cellを認め,pleomorphtc carcinomaと診断した.