著者
前田 愛 葉山 牧夫 中田 昌男 種本 和雄
出版者
特定非営利活動法人日本呼吸器外科学会
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.20, no.6, pp.824-828, 2006-09-15
被引用文献数
2

症例は70歳代女性.2002年8月近医にて胸部X線上左中肺野に石灰化陰影を指摘されたが自覚症状が無く経過観察されていた.2004年10月末,血痰が出現し近医を受診.画像上石灰化像の増大と新たな腫瘤影を認め精査加療目的で紹介人院となった.胸部CTでは拡張した左B^3気管支内腔に数珠状に連なる腫瘤影が存在し,内部には粗大な石灰化像を認めた.気管支鏡検査では左B^3気管支内に充満する黄金色の菌塊と,その末梢に表面粗な気管支結石がみられ,菌塊の培養にてアスペルギルスフミガタスが検出された.気管支結石を伴う気管支・肺アスペルギルス症の診断にて胸腔鏡補助下に左上区域切除術を施行した.気管支結石の成分分析では98%以上が炭酸カルシウムであり,分泌物貯留により生じた気管支結石によって気管支の閉塞をきたし,末梢気管支にアスペルギルスが感染したものと考えられた.