著者
中村 晋 山口 道也 大石 光雄 葉山 隆
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.23, no.8, pp.548-553,580, 1974-08-30 (Released:2017-02-10)
被引用文献数
3

われわれのallergy clinicで診療する機会を得たそばアレルギー症9例について総括検討し, そばアレルギー症の臨床的特徴として次の諸点を指摘した.1) 喘息発作, 蕁麻疹, 胃腸症状, 鼻症状あるいは結膜充血などが組合さって発症するが, これら症状間に一線を画することはできない.2) そばによる過敏症状は, 抗原物質が経口的に体内に侵入する時も経気道的に侵入する時も発症する.3) 種々のアレルギー学的検索成績から, 上記の過敏症状は抗原抗体反応に基づく厳密な意味でのアレルギー機序によるものと考えられ, そばアレルギー症は Coombs and Gell のいわゆるI型アレルギー(即時型アレルギー)の model であるとみられる.4) そばの抗原性はきわめて強く, そばエキスの注射により全身のshock等の重篤な反応を惹起する危険性があるので, そばによる減感作療法は安易に行うべきではない.