著者
小林 正好 蔵杉 俊康 小西 弘一 村瀬 勉
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NS, ネットワークシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.715, pp.103-110, 2002-03-08

現在のキャッシュサーバは動画像等のストリーミングコンテンツにも対応している.動画像コンテンツ全体をキャッシュすることは,コンテンツサイズが大きいためコスト的に難しい.このため,従来のストリーミングコンテンツ用キャッシュサーバは,コンテンツの先頭部分などを部分的に保持し,保持部分をストリーミング配信すると同時に,後続部分をオリジンサーバからプリフェッチする機能を持っている.しかし,このプリフェッチは,ストリーム配信の品質の安定を目的としており,ボトルネックを共有する一般のWebトラヒックなどの状況を考慮せず行われるため,一般のWebトラヒックとの競合を引き起こす.このため,一般のWebトラヒックのスループットを維持しようとすると,ストリーム配信本数を増やせないという問題があった.本稿では,ストリーミングコンテンツ用キャッシュサーバにおいて,ボトルネックの輻輳度に見合った適応的なプリフェッチを行うことで,ストリーミング配信品質を保ちつつ,一般のWebトラヒックのスループットを向上させる方式を提案する.また,シミュレーションによる性能評価により,若干のバッファコスト増加と引き替えに,一般のWebトラヒックのスループットを従来と同等に保ちつつ,従来の2倍のストリーミング配信本数を同一ボトルネック帯域に収容できる事を示した.