著者
中神 潤一 蔵野 正美 安田 正實 吉田 祐治 田栗 正章 種村 秀紀 辻 尚史
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001

ファジー推移のマルコフ決定過程への導入は千葉大学計画数学グループ[蔵野正美、安田正實、中神潤一、吉田祐治(北九州市立大学)]の主要研究課題で1991年より始められている。本研究課題は、動的ファジーシステムの最適構造についてファジー演算から導出される数学構造の意味付けを深めることにより、最適停止問題・ゲーム理論等に応用できる具体例の作成を通じて、ファジー理論の本来の要請である頑健性構造の解明に研究を拡大することを目標とした。科研費の内示当初より、共同研究者である吉田祐治教授(北九州市立大学)と共同の本格的な科研費研究集会を千葉2回九州2回と交互に4年間に渡って毎年開催する運びとなった。13年度は北九州市立大学、14年度は千葉大学、15年度は千葉大学、最終年度の16年度は北九州市立大学で科研費研究集会「不確実性下での数理決定とその展望」を開催、18件の発表が好評のうちに行われた。最新の研究成果の発表に対する討論と貴重な情報の交換が得られ大変有意義であった。このような交流は境界領域としての学問を進めていく上でぜひ必要と考えている。本研究課題において、裏面に記載した研究成果を含む10編の査読付き論文を作成した。国際Proceedings及び報告論文は17編、国内外の研究発表は29件になった。以上の研究成果は、今後の研究の発展と共に、国際シンポジウム等で積極的に発表し、国際的に評価された学術専門誌に投稿しその評価を受ける予定である。最近ザデーが提唱しているパーセプション(認知)の概念をファジー集合の新しい解釈として、ファジー値をもつ最適停止問題に適用した論文を発表した。これに続く論文としてマルコフ決定過程に適用した論文を作成中である。またファジー選好順序を動的決定過程に取り入れて、人間的決定を考慮した人工知能等の定式化を試みている。次年度以降の研究目標の一つとしたい。また、最後になりましたが、計算機・図書関係の整備等への補助金の支給に感謝致します。