著者
薄 直宏
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.G2S2036, 2009

【目的】臨床教育実習生(以下実習生)が臨床教育実習(以下実習)期間中にどのような事を考え実習に向き合っているのか、その心理を明らかにすることを目的に調査、研究を行った.<BR>【方法】対象は、平成20年4月から9月まで当院にて実習を行っていた実習生3名(男性2名 女性1名 平均年齢28.7歳)とし非構造面接を実施した.初回の質問は「当院での臨床実習はいかがでしたか?」とした.面接は、実習最終評価を行った後に施行した.場所は、個室を使用し面談内用をICレコーダーにて録音した.得られたデータは、グラウンデッド・セオリー・アプローチの手法に沿って継続的比較分析を行った.なお本調査、研究を行うに当たり、趣旨説明をし、すべての対象者から同意を得た後に面接を施行した.<BR>【結果】<BR>実習生は実習開始当初には、施設内のルールを把握することに努めると共に実習指導者や各スタッフのキャラクターを理解しようとしている姿勢がうかがえた、その背景には自分を理解してもらうことで実習が円滑に運ぶと考えているが、過度な低姿勢によってストレスを感じることも十分のあることがわかった.また充実している実習とは実習生自身が学び、考えることが尊重されていると実感していることが要素としてあがり、指導者の的確なフィードバックでより自信を強めていることがわかった.また、実習当初はその環境にとまどいながら実習を進めていくが、実習生は指導者や各スタッフの言動や立ち振る舞いを真似てその施設に馴染んでいく傾向がみられことも分かった.<BR>【考察】<BR>指導者との円滑なコミュニケーションには共通の言語として担当患者の存在は大きく、ケースを担当することで自分の意見を表出することが出来るとより指導者、学生間のコミュニケーションが図りやすいと考えられる.また、真似るという行為は患者治療を行う際にもみられ現在各養成校で取り入れられている模擬患者養育は有効であると考えられるが、言動(声のトーンや患者との会話)や患者との距離感も模擬患者教育で取り入れることが出来るのであればより充実した実習が行えるのではないと考える.