著者
薗部 佳史
出版者
名古屋大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究においては、抗ミッドカインRNAアプタマーによる実験的自己免疫性脳脊髄炎(Experimental autoimmune encephalomyelitis : EAE)抑制機序の解明を目的として研究を行った。その結果、ミッドカインは制御性樹状細胞において、Src homology region 2 domain-containing phosphatase-2を介してIL-12の産生を誘導させることで、制御性T細胞(Treg)の分化を抑制することが明らかとなった。また、EAEマウスに抗ミッドカインRNAアプタマーを投与したところ、所属リンパ節における制御性樹状細胞及びTregの数が上昇し、EAEの臨床症状が抑制された。さらにミッドカイン産生細胞について検討したところ、CD4陽性T細胞をはじめとする様々な炎症細胞がミッドカインを産生することが明らかとなった。本研究から、ミッドカインは制御性樹状細胞におけるIL-12の誘導を介して、Tregの分化を抑制していることが明らかとなった。したがって、抗ミッドカインRNAアプタマーによるEAEの抑制メカニズムとして、制御性樹状細胞の誘導を介したTregの誘導が関与しているものと考えられる。