著者
藁科 哲男
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

産地分析で最も重要なことは、原材産地を明らかにし分類することである。(1)玉類碧玉産地では、石川県小松市産玉材の中に女代南B遺物群に一致する原石群に小松・菩提一那谷群および女代南B遺物群と少し組成の異なる菩提-1群を確立した。また、花仙山原産地では面白谷地区産碧玉で面白谷瑪瑙群、くらさこ地区産碧玉でくらさこ群、横屋堀地区産碧玉で横屋堀-1群、また、白色風化群、緑色凝灰岩群などを作成した。会津坂下産碧玉でも新たに原石群を作り、現在日本全国で29個の碧玉・凝灰岩群が整備されたことにより、碧玉・緑色凝灰岩製の玉類の精度の高い産地分析ができるようになった。また、未定C群が弥生時代前期、古墳時代前期など時代変化の初期に使用される傾向が見られ、未加工玉材、剥片の出土が見られず、韓国製管玉が伝播した可能性が高く、韓国の情報を収集していたところ、釜山市近郊に碧玉の原産地が存在する可能性が明らかになった。今回の分析で香川県の遺跡及び大阪府紫金山古墳から未定C遺物群の使用が明らかになった。また、北海道留辺蘂の黒曜石原産地でケショマップ1群および2群の露頭が確認された。また、水和層測定で、北海道の遺跡の後期旧石器の水和層年代が20、000〜30、000年BPであった。北海道の遺跡で土器編年より約2,000年古くでる原因は、薄片法と光干渉法で測定した結果に差がなく、古く出る原因は黒曜石遺物の埋土温度に関係している可能性が推測された。