著者
犬塚 裕樹 藤丸 清佳
出版者
公益社団法人 日本看護科学学会
雑誌
日本看護科学会誌 (ISSN:02875330)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.567-572, 2021 (Released:2022-01-18)
参考文献数
11

目的:看護提供方式としてのパートナーシップ・ナーシング・システム(PNS)の看護特性を数理モデルによって定量的に評価した.方法:確率過程の数理モデルを使い,看護提供の受付け口数の違いが患者の看護待ち行列数に及ぼす効果を調べた.さらにベテランナースと新人ナースがペアを組み看護ケアを分担する場合の看護ケア効率を調べた.結果:看護待ち行列の平均人数は,看護提供の受付け口数が2から1に半減すると,トラフィック密度に依存し,およそ10倍に増え,患者に厳しい負担を与えることになった.さらに,ベテランナースと新人ナースが看護ケアを分担すると,単独で行う場合に比べ,看護ケア効率が落ちた.結論:PNSの2つの構造的特性は,ナースが単独での看護提供に比較して不利な結果となった.PNSが患者に,より安全で質の高い看護サービスを効率よく提供するためには,ナース間で高度なコミュニケーションを図り,互いを補完し協働することが必要である可能性が残された.