著者
上野 隆登 吉田 一郎 犬塚 裕樹 堀田 まり子 鳥村 拓司 安陪 等思 香野 修介 林 明宏 渡邊 誠之 赤木 禎治 松尾 和彦 淡河 善雄 高城 喜典 宮崎 洋 佐田 通夫
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.35, no.5, pp.303-308, 2004-10-25 (Released:2011-02-07)
参考文献数
8

医学部4年生の基本的臨床技能実習時に実施するOSCEと筆記試験, 5年生の臨床実習終了時に実施するOSCEと筆記試験, 6年生に実施する卒業試験を各1年ごとすべて受験した96名の医学部学生を対象に各学年次の成績に関する解析を行い, 卒業できた6年生と留年した学生間, および医師国家試験合格者と不合格者間の各年次における試験の合計点の平均値の比較検討, 卒業と国家試験への各学年試験成績の関連性の検討も行った. 各学年次試験成績は各学年間で有意な正の相関を示した. 卒業できた6年生と卒業できなかった学生間の各学年次試験成績の平均値は卒業生の方が卒業できなかった学生群に比較して有意に高い点数であった. また, 国家試験合格者群と不合格者群との各学年次試験成績の比較では, 各年次共に国家試験合格者群の方が高い点数であり, 6年次成績では有意差が見られた. これらの結果より, 医学部4年生に実施する基本的臨床技能実習と5年生の臨床実習が6年生の卒業試験成績に繋がり, ひいてはその成績が医師国家試験の結果に影響を及ぼすことが示唆された.
著者
犬塚 裕樹 藤丸 清佳
出版者
公益社団法人 日本看護科学学会
雑誌
日本看護科学会誌 (ISSN:02875330)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.567-572, 2021 (Released:2022-01-18)
参考文献数
11

目的:看護提供方式としてのパートナーシップ・ナーシング・システム(PNS)の看護特性を数理モデルによって定量的に評価した.方法:確率過程の数理モデルを使い,看護提供の受付け口数の違いが患者の看護待ち行列数に及ぼす効果を調べた.さらにベテランナースと新人ナースがペアを組み看護ケアを分担する場合の看護ケア効率を調べた.結果:看護待ち行列の平均人数は,看護提供の受付け口数が2から1に半減すると,トラフィック密度に依存し,およそ10倍に増え,患者に厳しい負担を与えることになった.さらに,ベテランナースと新人ナースが看護ケアを分担すると,単独で行う場合に比べ,看護ケア効率が落ちた.結論:PNSの2つの構造的特性は,ナースが単独での看護提供に比較して不利な結果となった.PNSが患者に,より安全で質の高い看護サービスを効率よく提供するためには,ナース間で高度なコミュニケーションを図り,互いを補完し協働することが必要である可能性が残された.