著者
猪谷 富雄 建本 秀樹 岡本 実剛 藤井 一範 武藤 徳男
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.49, no.8, pp.540-543, 2002-08-15 (Released:2010-01-20)
参考文献数
20
被引用文献数
10 23

有色米および白米6品種の抗酸化活性を,スーパーオキシドアニオン消去およびDPPHラジカル消去の評価系を用いて測定し,それらに含まれるポリフェノール色素の局在性や化学的性状を解析した.(1) 赤米(「ベニロマン」,「総社赤米」),紫黒米(「朝紫」,「中国黒米」)および白米(「コシヒカリ」,「中生新千本」)の計6品種のうち,玄米の有する抗酸化活性はいずれの方法においても赤米,紫黒米が白米に比べて著しく高かった.(2) 全品種とも果・種皮,つまり糠層からの抽出物が最も高い抗酸化活性を示し,精白米部からの抽出物には殆ど活性は検出されなかった.このことより活性成分は果・種皮に局在することが示唆された.(3) 両評価法で求めた抗酸化活性の間には高い相関性(r=0.908)が確認された.この活性は総ポリフェノール含量をよく反映しており,活性本体はポリフェノールであると考えられた.分光学的解析から,赤米はタンニン系色素を,また紫黒米はアントシアニン系色素を主要なポリフェノールとして含有することが明らかになった.