著者
古谷 規行 小川 昂志 藤井 千晃 川添 禎浩
出版者
社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.35-43, 2016-01-25 (Released:2016-03-01)
参考文献数
35

高イソフラボン含有黒大豆 ‘高イソ黒65号’ は市場評価の高い ‘新丹波黒’ のイソフラボン含量を向上させた品種である.‘高イソ黒65号’ の煮豆や豆腐などを調製して,加工品のイソフラボンおよびアントシアニン含量を調査した.さらに子実や加工品の抗酸化能を調査した.‘高イソ黒65号’ は子実のイソフラボン含量が532.4 mg/100g-DWで,‘新丹波黒’ の2倍以上であった.‘高イソ黒65号’ の加工品のイソフラボン含量は ‘新丹波黒’ の2倍以上で有意に高かった.調理によりマロニル化配糖体が減少しグリコシドが増加した.調製方法により加工品のイソフラボン含量や組成が異なり,蒸し豆はイソフラボンの損失が抑えられ,豆腐ではアグリコンの生成量が多くなった.また,アントシアニン含量は子実や加工品で ‘新丹波黒’ と遜色ない結果であった.‘高イソ黒65号’ の子実や加工品の機能性は子実およびいずれの加工品においても ‘新丹波黒’ よりH-ORAC値が高くなった.このように丹波黒大豆系品種 ‘高イソ黒65号’ は,イソフラボンおよびアントシアニン含量が高く,機能性が高い大粒黒大豆で,その特性を生かす加工品として蒸し豆や豆腐が有望と考えられた.