著者
藤井 聖子
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

本研究は、日本語と英語の話しことば談話における心的態度表意メカニズムを、実際の談話データの分析を通して明らかにし、その機能と表意手段の文法を、「談話と文法」「語用標識化」の観点から動的に探究することを目的として行った。本研究課題が特に着目したのは、文法的機能語が、本来の統語的特質を多少薄め、語用論的機能を強化し(また主観化・間主観化し)、話者の談話における命題態度および発話態度の表意手段として使用される現象である(藤井2008東京大学出版会)。本研究で、この言語現象を「語用標識化」とよび、その事例研究として、特に(1)接続形態素・節接続構文(Fujii 2009, 2008,藤井2010, 2009、etc.),(2)「と」や「みたいな」で標識される引用節(句)構文(Fujii 2009a, 2009b ; Fujii 2006)に焦点をあてて分析した。