著者
坂野 翔子 岡本 隆二 鈴木 康夫 山本 彩人 中谷 仁 村田 智博 洪 英在 藤井 英太郎 山田 典一 伊藤 正明
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.107, no.3, pp.564-570, 2018-03-10 (Released:2019-03-10)
参考文献数
10

68歳,男性.1カ月以上続く不明熱の原因検索目的で当院に紹介された.各種検査で異常を認めず,詳細な問診で発汗の自覚がないことが判明したため,発汗テストを行った.広範囲で発汗を認めず,特発性後天性全身性無汗症(acquired idiopathic generalized anhidrosis:AIGA)と診断した.炎症反応上昇を伴わず,発汗障害を認める患者には,本疾患を鑑別疾患に挙げる必要がある.
著者
杉浦 伸也 藤井 英太郎 藤田 聡 中村 真潮 伊藤 正明
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.45, no.SUPPL.3, pp.S3_86-S3_91, 2013 (Released:2015-01-09)
参考文献数
9

症例は36歳, 男性. 動悸を主訴に近医を受診した. 12誘導心電図にデルタ波はなく, ホルター心電図で心拍数150/分のlong RP'頻拍を認めた. 心臓電気生理学的検査で再現性をもって周期454msの頻拍が誘発された. 頻拍中の心房最早期興奮部位は左側壁で, 頻拍中にヒス束が不応期の時相に右室から加えた期外刺激にて早期心房補足現象が認められた. 頻拍中の室房伝導時間は220msと長く, 頻拍中の右室頻回刺激 (周期400ms) にて, 室房伝導にWenckebach blockを認めた. 以上の所見から本頻拍は左側壁に存在するslow Kent束を逆行性伝導とする房室回帰性頻拍と診断した. 同部位に対する通電にて副伝導路の離断に成功した. Slow Kentを介した房室回帰性頻拍の 1例を経験したため報告する.
著者
香川 芳彦 藤井 英太郎 藤田 聡 伊藤 正明
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.47, no.SUPPL.2, pp.S2_11-S2_20, 2015 (Released:2016-12-16)
参考文献数
4

症例1 : 心臓電気生理学的検査 (EPS) にて周期340msのATP感受性His束近傍リエントリー性心房頻拍が誘発された. 高位後壁右房からペーシングを行ったところ, 高位後壁右房はantidromicにcaptureされ, His束と冠静脈洞入口部はorthodromicにcaptureされた. 最早期興奮部位 (EAAS) では, His束電位が記録されたため, EAASからペーシングサイトに向かって7.1mm離れた部位で通電し成功した. 症例2 : EPSにて周期380msのATP感受性His束近傍リエントリー性心房頻拍が誘発された. EAASをHis束より9.5mm上方の前中隔に認めた. 右心耳からの頻回刺激にて, 右心耳はantidromicに捕捉され, EAAS, His束, 冠静脈洞入口部はorthodromicに捕捉された. EAASからペーシング部位に向かって7.7mm離れた部位で通電し成功した. 症例3 : EPSにて周期370msのATP感受性His束近傍リエントリー性心房頻拍が誘発された. 右房各所からペーシングを加えるも, orthodromic capture得られず. 無冠尖で得られたEAASに対する通電にて頻拍の根治に成功した. 頻拍中にentrainmentとorthodromic captureが認められた場合は頻拍のentrance siteで, entrainmentが得られない場合は無冠尖のEAASでの通電が有効であった.