著者
中川 益生 山本 勲 藤原 宜通 光藤 裕之
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1980, no.10, pp.1609-1614, 1980-10-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
6

n型半導体の表面にアクセプター性の準位があるとき表面の負電荷と同数の正電荷が内部に空間電荷層をつくる。半導体膜厚がこの層の厚さ(Debye長さ)より小さいとき,膜面内電導路は空間電荷ポテンシャル障壁によってピンチオフされる。表面準位の種類と密度の変動は,条件によりDebye長さを増して,ピソチオフを強める場合,あるいはその逆の場合を生ぜしめるユニポーラ・トラソジスター作用をひきおこす。この作用を化学吸着により行なわせ,吸着されるべき分子またはイオンを検出するセソサーを吸着効果トラソジスター(AET)とよぶ。湿雰囲気はAET動作に異常をひきおこす。水のドナー吸着によると考えられる電気抵抗の減少のほかに,湿度と印加電圧それぞれの増加にどもなう異常抵抗増が観灘された。一方,n型半導体膜をカソード,白金をアノードとして,精製水中で1Vの直流電圧を加えて電極反応を生ぜしめたとき,半導体の膜抵抗は,その電気化学処理の前にくらべて増大した。これらを説明するために,水の“電気化学吸着”によるアクセプター生成と,水を吸着した表面上におけるイオン電導路形成の仮説を導入した。