著者
西山 友貴 藤原 康嗣
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.163-166, 2016-03-01 (Released:2016-03-18)
参考文献数
19

カルベジロールとプロパフェノンの過量摂取によると考えられる心停止蘇生症例を経験した。80歳の女性が心停止で搬送された。高血圧,発作性心房細動,アルツハイマー型認知症の既往を有していた。胸骨圧迫,アドレナリン投与,人工呼吸で心拍再開したが,高度徐脈(10~20 /min)となり,アドレナリン持続投与を必要とし,一時的ペーシングを開始したが頻回に機能不全を生じた。約10時間後に徐脈は改善(70 /min)し,アドレナリン,ペーシングは不要となった。後にカルベジロール,オルメサルタン,アゼルニジピン,プロパフェノンを過量摂取したことが判明した。後日薬物血中濃度が判明したが,プロパフェノンとその代謝産物が高濃度であった。心停止,高度徐脈,ペーシング不全の原因は,カルベジロール,プロパフェノンの過量摂取と考えられた。高齢者ではプロパフェノン中毒が生じやすく心停止に至る危険性が大きい。