著者
中尾 武久 二宮 英彰 藤原 正博 池田 暉親
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.935-939, 1981-09-15

抄録 逆さ眼鏡を使用した場合,逆転してみえる外界への適応の過程,すなわち,知覚的,行動的適応の機序をより詳細に検索するために,4人の被検者を用いて各種実験を行なった。 まず適応の過程についてみると,実験第1日では視野の動揺が著明で,外界はゆれ,現実性(reality)を失ない,書字・文字の判読は不能である。また自分の目的とする行動をなしとげるまでの時間が長く,拙劣であった。しかし,これらは実験日を追うごとにほぼ回復し,実験最終日には普段に行なっている行動はほぼ支障なくでき,自転車にのる程度までに回復した。また,視野の動揺による不快感,外界の異和感などは経時的に減少するのに対し,逆さ眼鏡を除去して歩行した場合にみられる船酔に似た眩暈感は次第に増強する傾向を示した。以上の所見の外に,眼球運動の経時的変動の所見をあわせ,適応の過程の神経生理学的意義について考察を加えた。
著者
藤原 正博 金子 睦志 水島 美由紀
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.501-504, 2015 (Released:2015-01-08)
参考文献数
26

治療抵抗性の三叉神経痛に対してNMDA受容体拮抗作用を有するイフェンプロジルが有効であった3例を経験した.【症例1】原発性マクログロブリン血症で当院通院中の70歳,女性.60歳頃から三叉神経痛を自覚.カルバマゼピンは無効で,イフェンプロジルを投与したところ,2~4週間で痛みがほぼ消失した.休薬により症状が再燃したが,イフェンプロジルの再開により痛みが消失した.しかし,1年半ほどでイフェンプロジルの効果が減弱したため,プレガバリンに変更して経過観察中.【症例2】骨髄異形成症候群で当院通院中の89歳,男性.以前より三叉神経痛を訴えていたが,カルバマゼピン,神経ブロックは無効で,イフェンプロジルを投与したところ,2カ月程度で痛みが消失した.【症例3】62歳,女性.50歳代の頃から三叉神経痛を自覚.カルバマゼピンが無効で,イフェンプロジルの投与により,約1カ月で痛みが軽減した.