- 著者
-
藤原 祺多夫
- 出版者
- 広島大学
- 雑誌
- 一般研究(C)
- 巻号頁・発行日
- 1987
天然水等の試料を対象にして, ホウ酸やケイ酸を簡便に測定する方法を開発する目的で, ホウ酸及びケイ酸を気体状化合物に定量的に変化させる方法, 及び気体状ホウ素化合物とケイ素化合物の酸化反応にらる化学発光の測定を試みた. まずホウ素については, ホウ酸トリナチルをチッ素気流中に打込みこれを発光させる方法を検討した. まずオゾンとの混合を試みたが, パラジウム, パラジウム/炭素等の触媒を利用しても気相では発光を生じなかった. そこで内径2mmの毛細石英管の外壁をニクロム線で加熱するミクロファーネスを自作し, ここにチッ素気流に混合したホウ酸トリメチルを導入したところ, 500〜600mm付近の波長領域に見かけ上緑色の発光が, 毛細管末端で観測できた. これはBOに由来するものと思われるが, この発光を定量するため, シリコニットで外側を被覆したミクロファーネスをステンレスT字管(内径2cm程度)に入れ, 腕の部分に干渉フィルターを入れた後光電子増倍管に直結するシステムを作成した. この装置を用い, かつフィルターを500nmに変えて, ケイ素の誘導体(トリエチルシラン)も同様に測定できた.一方ホウ酸及びケイ酸から水素化物を含む気体状化合物への定量的変換法は現在まず確立することができなかった. まずホウ酸については, メチルアルコールとの還流によるメチル化を行ったが, これは一試料をメチル化するのに30分程度必要であり, かつ試料スケールを大きくしなければならずミクロ分析として不適当と考えた. 従って内径1.5cm長さ20〜30cmの石英管を100〜400°Cに加熱した反応管内での, ホウ酸のメチル化もしくは還元を検討した. 還元剤として, 水素化ジイソブチルアルミニウム, トリクロルシラン, トリエチルシラン等を検討したが, 現在固形ホウ酸塩を粉末状水素化リチウムアルミニウムとよく混合させた後300°Cに加熱した場合のみ, ホウ素に由来する気相化学発光が観測できた.