著者
小川 和郎 藤原 麻由 近藤 好美 水下 義信 小野 慎 吉村 敏章
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
vol.61, no.6, pp.341-345, 2004-06-25 (Released:2010-03-15)
参考文献数
15

さまざまなデンプンをアセチル化することにより, 置換度の増加に伴うアセチル基の分布を検討した. アミロース含量の高いハイアミローススターチは, 低密度のアミロース部分からアセチル化が起こり, 低置換体ではアミロース部分にアセチル基が多く導入される. 一方, アミロース含量の低いデンプンは, アミロペクチンの構造によってアセチル基の分布が異なった. B型の馬鈴薯デンプンのアミロペクチンは分子鎖が長いため, アミロース分子とからみ合った部分が存在し, アセチル化はアミロースとアミロペクチンに同時に起こる. A型のコーンスターチはアミロペクチンの分子鎖が短いため, アミロースとアミロペクチンが単純な混合物として存在し, アセチル化はアミロース部分から進行する. しかしながら, アセチル化機構が異なっても, アセチル化デンプンの結晶構造には影響を与えなかった.