著者
小川 和郎 藤原 麻由 近藤 好美 水下 義信 小野 慎 吉村 敏章
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
vol.61, no.6, pp.341-345, 2004-06-25 (Released:2010-03-15)
参考文献数
15

さまざまなデンプンをアセチル化することにより, 置換度の増加に伴うアセチル基の分布を検討した. アミロース含量の高いハイアミローススターチは, 低密度のアミロース部分からアセチル化が起こり, 低置換体ではアミロース部分にアセチル基が多く導入される. 一方, アミロース含量の低いデンプンは, アミロペクチンの構造によってアセチル基の分布が異なった. B型の馬鈴薯デンプンのアミロペクチンは分子鎖が長いため, アミロース分子とからみ合った部分が存在し, アセチル化はアミロースとアミロペクチンに同時に起こる. A型のコーンスターチはアミロペクチンの分子鎖が短いため, アミロースとアミロペクチンが単純な混合物として存在し, アセチル化はアミロース部分から進行する. しかしながら, アセチル化機構が異なっても, アセチル化デンプンの結晶構造には影響を与えなかった.
著者
作道 栄一 吉村 敏章 神田 美夏
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌
巻号頁・発行日
vol.1987, no.2, pp.202-207, 1987
被引用文献数
1

S-エチル-S-フェニル-N-トシルスルフイミド(SN[1]),S-エチル-S-2-ピリジル-N-トシルスルフイミド(SN[2])および2-(N-トシルエタンスルフィンイミドイル)ピリジン=1-オキシド(SN[3])の熱分解反応に対するプロトン性溶媒(メタノール)の影響について検討した。SN[1]の熱分解反応に対する非プロトン性溶媒(ベンゼンおよび1,4-ジオキサン(DO))とプロトシ性溶媒との速度比はベンゼン:DO:メタノール=8.5:5.5:1(100℃),となり,メタノールの反応抑制効果はかなり大きい結果を示した。またSN[1]の活性化パラメーターはメタノール中でE<SUB>a</SUB>=115.1kj/mol,およびΔS<SUP>≠</SUP>=-41.OJ・K<SUP>-1</SUP>mol<SUP>-1</SUP>であり,ΔS値はSN[3]の約1/5であったお。メタノール溶媒の同位体効果はSN[1]ではk(メタノール)/k(メタノール-d)≒0.82であり,SN[2]SN[3]では重水素の効果は認められなかった。SN[1]の置換基効果はベンゼン中ではρ=+0.792,DO中ではρ=+0.809およびメタノール中ではρ=+0.851であり,溶媒の種類によるρ値の差異はあまり認められなかった。SN[3]め熱分解に対するメタノールの反応抑制効果は小さかった。得られた結果から,スルフイミドの熱分解に対するプロトン性溶媒の影響として,基質の原系に対して水素結合を形成するが,その形成箇所によって反応が抑制または促進されると考えられた。