著者
弦巻 英市 藤堂 史明 Tsurumaki Eiichi Toudou Fimiaki
出版者
新潟大学大学院現代社会文化研究科
雑誌
経済開発と環境保全の新視点 = New visions in economic development and environmental conservation (ISSN:21875197)
巻号頁・発行日
no.8, pp.45-60, 2017

東京電力福島第一原発事故は、その原子炉の3つまでが炉心熔融するという重大事故であるが、その事故の拡大の過程は、炉心の検証が進んでいないこともあり未だに詳細が明らかではない。本稿では原子力防災の観点から、行政や住民が原子力事業者の事故対応を理解する必要性を考慮して、事業者側の公開された情報である福島第一原発3号機の事故時運転操作手順書と、事故時の状況から、手順書通りに操作を行えば炉心熔融を防げた可能性について考察する。
著者
藤堂 史明 Toudou Fumiaki
出版者
新潟大学大学院現代社会文化研究科
雑誌
経済開発と環境保全の新視点 = New visions in economic development and environmental conservation (ISSN:21875197)
巻号頁・発行日
no.7, pp.55-65, 2016

日本に原発が導入されて以降,エネルギー供給やコスト上の論点に加えて強調されてきたのは,立地自治体への経済効果である。本稿では,関係する論点について整理した上,新潟日報社と共同で行った2015年度の研究から,経験的事実として柏崎・刈羽原子力発電所の柏崎市に対する経済効果が建設期の建設業に限られ,他業種においてはみられなかった事を紹介する。
著者
藤堂 史明 Toudou Fumiaki
出版者
新潟大学経済学会
雑誌
新潟大学経済論集 (ISSN:02861569)
巻号頁・発行日
no.96, pp.49-65, 2014-03

2011年3月の東日本大震災と東電福島第一原発事故以降,複数の論考で主に原子力防災と放射線リスクの受容に関する分析を行ってきたが,エネルギー・環境政策の分野では,原子力発電とそこからの放射性物質の放出,リスクの管理という基本的問題から離れて,エネルギー供給の社会的な費用についての議論が盛んである。本論文は,原子力発電所の規制指針の改訂により停止中の日本国内の既存の原子力発電所について,これを再稼働させるべきかについての議論に焦点を合わせる。本論文では関連する論点についての主な主張を概観し,経済学的な論理を抽出し,その構造を明らかにする。これらの経済学的論理に付随してみられる埋没費用概念の誤用は,エネルギー政策についての議論において注意されるべきものである。Following preceding analyses on acceptance of radiation risk and nuclear disaster prevention after the Great East Japan Earthquake and the TEPCO Fukushima Daiichi nuclear power plant accident in March, 2011, this paper focuses on economical logics in the debates on restarting of the existent nuclear power plants in Japan, stopping due to the revise of nuclear power plants' regulations. By analyzing major assertions related, this paper clarifies the economical logics and its structures inside. These economical logics and accompanying misuse of the notion of sunk costs should be paid attentions in the debates on energy policies.