著者
藤尾 耕三 眞井 佳子 石井 真澄 桃谷 直美 藤井 正司 椎木 和子 高須 伸治
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.47, no.6, pp.359-365, 2014 (Released:2014-06-28)
参考文献数
26
被引用文献数
1 1

血液透析患者では, 栄養障害が予後を悪化させるため, 栄養状態を評価して積極的に治療介入することが勧められている. Mini nutritional assessment short form (MNA-SF) による栄養障害スクリーニングの有用性を検討するために, 65歳以上の維持血液透析患者82人をMNA-SF, malnutrition-inflammation score (MIS), geriatric nutritional risk index (GNRI) で評価し, 2年後までの全死亡を前向きに調査した. MNA-SFのスコアはMISやGNRIと有意に相関し (ρ=−0.660, p<0.001, ρ=0.482, p<0.001), MNA-SF, MIS, GNRIにより, それぞれ55%, 59%, 35%が栄養リスク群に抽出された. 2年間で14人が死亡し, 栄養リスク群の相対危険度はそれぞれ10.7, 2.6, 4.6であり, MNA-SFとGNRIの栄養リスク群が有意 (p=0.002, p=0.004) に死亡と関連した. Receiver operating characteristic解析では, MNA-SFのスコア, MIS, GNRIのいずれも有意に死亡と関連したが, MNA-SFのarea under the curveが最大 (0.829, 95% confidence interval 0.723-0.935) であった. ロジスティック解析で, MNA-SFは食事量 (p=0.048) と神経・精神的問題 (p=0.005) が, MISは食事量 (p=0.033) と身体機能 (p=0.035) が有意に死亡と関連した. 高齢者向けに開発され, ベッドサイドで実施できるMNA-SFは, 高齢血液透析患者において, 予後と関連した栄養障害スクリーニング法であると考えられた.