著者
菊地 俊彦 高村 博光 藤山 大佑 須賀 美奈子 石丸 幸太郎 高野 潤 神田 幸彦 小林 俊光 吉見 龍一郎
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.47, no.4, pp.251-255, 2001-07-20 (Released:2013-05-10)
参考文献数
16

アンギオテンシン変換酵素阻害剤 (ACE阻害剤) およびアンギオテンシンII受容体拮抗薬の重大な副作用として血管性浮腫の存在が知られている。今回、われわれは、ACE阻害剤の一つであるマレイン酸エナラプリルを内服後、重篤な喉頭浮腫を来した1症例を経験した。患者は62歳、男性で、マレイン酸エナラプリルの投与開始後、約1週間で発症しており、舌、喉頭および顎下部に高度の浮腫性病変を呈していた。ステロイドの投与およびマレイン酸エナラプリルの投与中止により治癒せしめることができた。現在、ニフェジピンにより血圧のコントロールを行っているが、血管浮腫の再発もみられず、経過良好である。このように、ACE阻害剤およびアンギオテンシンII受容体拮抗薬の投与により、時に致死的な高度の浮腫性病変を来すことがあるため、われわれ耳鼻咽喉科医も本疾患の存在を十分に理解しておく必要があろう。