著者
矢野 円郁 藤岡 茉央 仁科 健
出版者
一般社団法人 日本人間工学会
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.59, no.5, pp.201-206, 2023-10-15 (Released:2023-11-03)
参考文献数
17

日本では,接客業の女性従業員は化粧を義務づけられることが多い.本研究では,飲食店の女性店員が化粧をしていない場合,客が不快に思うのかどうかを実験的に検証した.実験参加者に女性店員が接客をしている動画を見せ,その印象を評価させた.真の研究目的を悟られにくくするため,表情条件(笑顔/無表情)も追加し,複数の店員に対する評価を求めた.実験の結果,参加者の性別によらず,笑顔が印象を良くする効果は明確に示されたが,化粧の効果はほとんどみられなかった.また,化粧の実験操作に気づいた人(13名)においても,気づかなかった人(29名)と同様に,印象評価に化粧の効果はみられなかった.本研究結果が今後,女性に対する化粧義務の是非を議論するための材料の一つになると考える.