著者
鳥山 光昭 松元 順 藤嶋 哲男
出版者
日本茶業学会
雑誌
茶業研究報告 (ISSN:03666190)
巻号頁・発行日
vol.1983, no.58, pp.20-27, 1983-12-01 (Released:2009-07-31)
参考文献数
15
被引用文献数
1 2

有機物施用茶園における,土壌中の可給態窒素含量と収量,品質との関係を明らかにするために,堆肥を6年間毎年0,1,2,4t/10a施用した茶園を供試し,各堆肥施用区のうね間土壌中の無機態窒素濃度を12,24mg/乾土100g(堆肥2t区は24mgのみ)の2段階とし,処理期間における可給態窒素および無機態窒素の含量と収量,品質との相関を求めて比較検討した。その結果は次のように要約される。1) 土壌中の可給態窒素含量は,堆肥施用量を増すほど増加し,4t区では20~22mg/乾土100gで,無施用区の3.6倍に増加した。なお,可給態窒素含量の時期別変動をよ割合に小さかった。2) 一,二番茶期における新芽中の総窒素量は,可給態窒素+春・夏季の無機態窒素の含量との相関が最も高く,可給態窒素と無機態窒素は茶樹の窒素吸収に対する窒素供給源としては,互いに補完的な役割を果しているものと推察された。3) 一番茶の収量は春季の無機態窒素濃度と,二番茶の収量は可給態窒素含量との相関が高かった。一番茶の煎茶品質では各窒素形態の含量との相関関係に有意性は認められなかったが,二番茶の煎茶品質は春・夏季の無機態窒素濃度との相関が高かった。可給態窒素の生産能率は品質よりも収量に対して,また一番茶期よりも二,三番茶期において高いものと推察された。