著者
坂下 美彦 藤川 文子 秋月 晶子 藤里 正視
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.316-320, 2016 (Released:2016-03-04)
参考文献数
12

【緒言】SEIQoL-DWは半構造化面接により患者が大切に思う5つの領域に焦点をあてて個人のQOLを測定する方法である.本研究は進行がん患者の大切に思う領域と主観的QOLの変化について病状悪化の経過の中で縦断的に評価するのを目的とした.【方法】痛みがSTAS1以下などを適格基準としSEIQoL-DW を1年間に緩和ケア外来(1回目)と入院後(2回目)に実施した症例を対象とした.【結果】対象は5例(男1,女4,年齢67.6歳)であった.1回目面接時P.S.は全例1に対し,2回目面接時には3ないし4であった.面接の間隔は平均164日.全例において大切な領域の内容は5つのうち3つ以上が変化した.全般的主観的QOLを意味するSEIQoL-indexは3例で上昇し2例で低下した.【結論】終末期に患者が大切に思う領域は大きく変化する.個人の主観的QOLは全身状態の低下とは必ずしも一致しない.