著者
坂下 美彦 長島 律子 藤里 正視
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.111-116, 2020 (Released:2020-05-30)
参考文献数
17

【緒言】スピリチュアルケアは緩和ケアの課題の一つであるが,構造化された介入法は限られている.スピリチュアルケアのためにディグニティセラピー(DT)の要素を取り入れたディグニティ個別音楽療法プログラム(DMT)を独自に開発したので報告する.【プログラム】DTの経験などをもとに,音楽療法士を含めた研究グループで開発した.【手順】最初に「あなたが人生で最も生き生きとしていたのはいつごろですか? そのころを思い出させてくれる曲は何かありますか?」などの質問をもとに患者が大切な曲を選ぶ.次にその曲を病室で音楽療法士が電子ピアノ演奏する(個別音楽会).演奏後に患者が思いや人生のエピソードなどを自由に語れるように促す.【考察】DMTを実施した患者からは大変好評を得ている.構造化されたプログラムであるため,いろいろな所で実施できる可能性がある.スピリチュアルケアとしての有用性および実施可能性を調査予定である.
著者
坂下 美彦 藤川 文子 秋月 晶子 藤里 正視
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.316-320, 2016 (Released:2016-03-04)
参考文献数
12

【緒言】SEIQoL-DWは半構造化面接により患者が大切に思う5つの領域に焦点をあてて個人のQOLを測定する方法である.本研究は進行がん患者の大切に思う領域と主観的QOLの変化について病状悪化の経過の中で縦断的に評価するのを目的とした.【方法】痛みがSTAS1以下などを適格基準としSEIQoL-DW を1年間に緩和ケア外来(1回目)と入院後(2回目)に実施した症例を対象とした.【結果】対象は5例(男1,女4,年齢67.6歳)であった.1回目面接時P.S.は全例1に対し,2回目面接時には3ないし4であった.面接の間隔は平均164日.全例において大切な領域の内容は5つのうち3つ以上が変化した.全般的主観的QOLを意味するSEIQoL-indexは3例で上昇し2例で低下した.【結論】終末期に患者が大切に思う領域は大きく変化する.個人の主観的QOLは全身状態の低下とは必ずしも一致しない.