- 著者
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関口 伸子
藤村 理佳
村田 容常
本間 清一
- 出版者
- 公益社団法人 日本農芸化学会
- 雑誌
- 日本農芸化学会誌 (ISSN:00021407)
- 巻号頁・発行日
- vol.66, no.4, pp.689-698, 1992-04-01 (Released:2008-11-21)
- 参考文献数
- 11
インスタントコーヒー中のFe(II)と結合する成分を検索する目的で,0.1mMのFeSO4を含む0.01M酢酸緩衝液(pH4)を溶出液とするゲル濾過HPLC(カラム平衡法)を用いて実験を行った. (1) EDTAをHPLCにかけると,溶離液中のFeの濃度の平衡がくずれ,EDTAの濃度に比例したFe濃度の山と谷ができた. (2) コーヒー,モデルメラノイジン,フィチン酸,カフェイン,クロロゲン酸の鉄結合性をカラム平衡法で検討したところ,コ一ヒー,モデルメラノイジン,フィチン酸にはFe(II)との相互作用があることがわかった.カフェイン,クロロゲン酸のFe(II)との相互作用は本法ではなかった. (3) イソプロピルアルコールを用いてコーヒー成分の分画をこころみた.70%イソプロピルアルコールが可溶性成分と不溶性成分の分離に一番有効であることがわかった. (4) コーヒーの70%イソプロピルアルコール不溶性成分を水抽出し,トヨパールHW-40 (coarse)で分画したところ,中間に溶離する可視部の吸光度の低い画分と,最後に溶離する赤褐色のクロロゲン酸残基を含む画分はFe(II)との相互作用があった. (5) コーヒーの70%イソプロピルアルコール可溶性成分をトヨパールHW-40 (coarse)で分画したところ,最初に溶離する褐変色素の画分はFe(II)との相互作用があった. (6) コーヒーの70%イソプロピルアルコール不溶性成分を水抽出したあとの繊維状の不溶性物質にもFe(II)との相互作用があった. 終わりにインスタントコーヒーを提供していただいたネッスル株式会社に感謝いたします.