著者
竹峰 秀祐 高田 光康 山本 勝也 松村 千里 藤森 一男 渡辺 信久 中野 武 近藤 明
出版者
一般社団法人 日本環境化学会
雑誌
環境化学 (ISSN:09172408)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.55-60, 2013 (Released:2013-09-25)
参考文献数
24
被引用文献数
2 2

In this study, an analytical method for perfluorinated compounds (PFCs) in granular activated carbon (GAC) was investigated. The investigation of analysis was conducted by using GAC which adsorbed PFCs from artificial waste water containing PFCs of known amount. As results, it was confirmed that Accelerated solvent extraction (ASE) method using acetone as the solvent was appropriate for the extraction of PFCs in GAC.PFCs in used GAC samples, regenerated GAC samples, and a new GAC sample were analyzed by using the investigated method. The concentration of PFCs in the regenerated GAC was decreased by more than 99.9% compared with the used one. PFCs in GAC may transform and/or desorb at regeneration processes.
著者
〓刀 正行 藤森 一男 中野 武 原島 省
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 = Japan analyst (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.51, no.11, pp.1001-1008, 2002-11-05
参考文献数
8
被引用文献数
4 4

人為起源の有害化学物質による海洋汚染は, 様々な輸送過程を経て全球的な規模の汚染へと進みつつある. 本研究は, フェリーを観測プラットフォームとして海水中の有害化学物質の存在状態とその動態を従来に比較して時間的・空間的に密な観測態勢を確立することにより明らかにするものである. 海水中の低濃度有害化学物質を高密度に観測するためにポリウレタンフォームを抽出剤とする固相抽出法を用いたフェリー搭載型連続濃縮捕集システムを開発し, 同システムにおける最適捕集条件を把握するとともに, 大阪-沖縄間の航路における観測を実施した. また, システムの一部自動化を実施した. 同航路上における有害化学物質は, 主にHCH, クロルデン, ノナクロルなどの農薬を中心として, 数pg/lから数百pg/lの広い濃度範囲で検出された. β-HCHは, 瀬戸内海の大阪湾から数百pg/lの比較的高い濃度で検出された以外は, 太平洋沿岸域で100pg/l前後, 黒潮及び沖縄周辺で100pg/l以下と低濃度であり, 季節や気象条件の変化に関係なくほぼこの傾向が見られた. 一方, α-HCHの濃度分布はおおむねβ-HCHと類似しているが, 気象条件 (輸送過程の変化) によりその濃度がかなり変化することが明らかとなった. また, クロルデンは, 多くの観測域で数pg/l程度と極めて低濃度であり, ほとんどの地点で検出限界近くであったが, 瀬戸内海及び沖縄近海で若干高い傾向が見られた. ノナクロルは, クロルデンよりも更に濃度及び変化が少ないが, 検出される位置はクロルデンと類似している. これらの濃度分布及びその変動は, 使用が禁止された以後も様々なリザーバーに蓄積している有害化学物質が徐々に再放出しているか, あるいはより汚染度の高い地域から輸送されてきていることを示唆している.
著者
功刀 正行 阿部 幸子 鶴川 正寛 松村 千里 藤森 一男 中野 武
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 = Japan analyst (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.59, no.11, pp.967-984, 2010-11-05
参考文献数
25
被引用文献数
1 2

残留性有機汚染物質による地球規模の海洋汚染の時空間変動及び化学動態を把握するため,商船を篤志観測船として用い,この目的のために開発した海洋汚染観測システムを搭載し,太平洋及び南シナ海における広域観測を実施した.日本-オーストラリア間は鉱石運搬船を,南太平洋(含む南極近海)はクルーズ船を,北太平洋(東アジア-北米間)及び南シナ海はコンテナ船を,それぞれ篤志観測船として用いた.鉱石運搬船,クルーズ船には専用の海洋汚染観測システムを開発し搭載し,コンテナ船にはユニット化した小型の海洋汚染観測システムを開発して搭載し,試料採取及び観測を実施した.海水中の残留性有機汚染物質の捕集は,固相抽出法を用い,船上で100 Lの海水を濃縮捕集し,採取試料は直ちに船上で冷凍保存し,日本に持ち帰った.持ち帰った試料は冷凍庫で保存し,分析直前に前処理後HRGC/HRMS-SIM法で分析した.すべての試料から残留性有機汚染物質が検出された.低緯度海域では,HCHsの濃度は低く,かつその異性体のうちβ-HCHが最も高い,一方高緯度海域では中央から北米沿岸域ほどα-HCHが高い傾向にあるなどその濃度や異性体存在比などは極めて特徴的であり,発生源及び輸送過程を推定する上で貴重な情報を与えることが明らかとなった.
著者
功刀 正行 藤森 一男 中野 武 原島 省
出版者
公益社団法人日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.53, no.12, pp.1375-1387, 2004-12-05
被引用文献数
4 4

商船に搭載するための連続濃縮捕集システムを開発し,同システムを用いて同一海域を頻繁に航行するフェリーを観測プラットフォームとする有害化学物質による海洋汚染観測態勢を確立した.観測は,大阪港と那覇新港管を航行するフェリー「くろしお」において1996年12月から1998年2月に,またフェリー「さんふらわああいぼり」において1998年12月から2000年3月に実施した.観測結果から,海洋における有害化学物質による海洋汚染の動態の把握には高頻度の観測が不可欠であること,ヘキサクロロシクロヘキサン類,クロルデン頻を観測することにより観測地点・時点で支配的な起源推定が可能であることが明らかとなった.