著者
新倉 聡 佐々木 将士 藤森 成一
出版者
東海大学
雑誌
東海大学紀要. 電子情報学部 (ISSN:13472666)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.77-82, 2005-09-30
被引用文献数
1

近年では、パソコン、インターネットの普及に伴い、個人でも手軽にネット証券などで株式売買ができるようになり、さらに、売買手数料の値下がりは、個人投資家の増大傾向を誘っている。一方、株式予測は、ニューラルネット、カオス、フラクタルなどの新しい概念をもとに予測研究が盛んに行われており、特にニューラルネットによる予測が一般に行われている。それらの予測は、いずれも数値データをベースとした予測方法であるため、知識データベースからの、売買予測も必要である。このため、本研究では、株式売買シミュレーションモデルを論理プログラミング言語の1つである、Prologを用いて行った。論理プログラミングでは、問題領域における知識として、事実及び規則の表現が基本であり、結論は、これらの知識と推論を用いて、論理的に導かれる。そこで、本研究では、これらの初歩的取り扱いとして、いくつかのテクニカル分析を株式売買に関する必要知識あるいは規則として用い、株の買い、売りを論理的側面から判定し、利益をあげる事ができるかどうかの予測可能性について検討した。即ち、従来の、株価データから、市場予測で使われるテクニカル分析の中短期の予測に適しているオシレーター系のストキャステイクス(STC)とワコーボリュームレシオ(WVR)、チャート分析のゴールデンクロス(GC)等の指標を、事実あるいは、規則として捉え直し、短期間の売買シミュレーションを行ない、日足による短期間売買において利益獲得を実現するシミュレーションモデルを研究した。本研究では、買い先行のみの売買をシミュレーションしている。