著者
藤森 行雄 金子 隆司 西出 宏之 土田 英俊
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
vol.50, no.6, pp.485-488, 1993-06-25 (Released:2010-11-22)
参考文献数
12
被引用文献数
2 6

カンファーキノン (CQ) とジメチルアミノエチルメタクリレート (DMAEMA) は光重合型歯科用レジンに重合開始剤として応用されている. CQおよび各種アミンの存在下におけるMMAの重合をモデル系として, 光照射によるCQのカルポニル基の消費率, ラジカル挙動, ポリマーの収率からラジカル重合開始能を考察した. CQとDMAEMAは窒素下での光照射によりCQラジカルアニオンを生成した. 光照射によるCQのカルポニル基とCQラジカル信号強度の減少率はポリマーの収率に依存し, CQラジカルの水素引き抜き反応により重合が進行することが示唆された. 一方, 大気下での光照射ではCQのカルボニル基の消費率は少なく, ポリマーの収率は低下した. 大気中の酸素により開始反応が阻害されることが明らかとなった.