著者
溝口 勝大 田畑 明通 仲野 彰 土田 英俊 篠原 功
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌
巻号頁・発行日
vol.1974, no.10, pp.1974-1980, 1974
被引用文献数
1

ピベラジニウムおよびp-キシレンev,evs-ジイル(P-キシリレン)基からなるカチオン(1~V)のZ7,8,8-テトラシアノキノジメタシ(CQ)塩を合成し,比抵抗pおよび電導の活性化エネルギーEを測定した。<BR>CQsimplesaltのpは,いずれも~107Ω,cmと大きいが,中性のCQ(CQe)を添加したcomplexsaltでは,1-CQ(3.2×10sΩ,cm)ll-CQ(1.1×10s)V-CQ(7.4×1O<sup>2-</sup>)1y-CQ(81)III-CQ(44)の順にpほいちPるしく減少する。simple,saltのN,N-ジメチルホルムアミ,ド(MF)やアセトニリルに対する溶解性は,complexsalt合成の必要条件であり,III-CQ駕1V-CQIII-CQ工-CQ≧V-CQの順となる。したがって,CQeの添加によるpの低下は,ビペラジニウム環とP-キシリレン基が組み合わさってはじめて発現し,p-キシリレン基によるイオン席間隔の保持と溶解性の増大はCQeとCQrの錯形成に,ピペラジゴゥム環はCQO,CQのカチォンへめ配列を規制して電導性に寄与する推定した。
著者
栗村 芳実 村上 敬吾 土田 英俊
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
工業化学雑誌 (ISSN:00232734)
巻号頁・発行日
vol.72, no.8, pp.1698-1702, 1969-08-05 (Released:2011-09-02)
参考文献数
11
被引用文献数
1

鉄(III)キレート触媒によるアスコルビン酸の酸素酸化反応をpH1.5~5の水溶液中で,酸素吸収速度を測定することによって研究した。鉄(III)イオンのみが存在する場合には,アスコルビン酸の酸素酸化反応の速度は,比較的小さい。しかし,NTA,EDTAOH,EDTA,CyDTAおよびDTPAなどを配位子とする鉄(III)キレート触媒を用いると,アスコルビン酸の酸化は著しく促進される。これらの鉄(III)キレートの触媒活性は,一般に,キレートの性質,溶液のpHなどによって異なる。アスコルビン酸が鉄キレートに比べ大過剰であるときは,酸素吸収速度は,鉄(III)キレートおよび酸素分圧に関して,それぞれ見かけ上一次になる。鉄(III)キレートの触媒活性は,pH3~5において,Fe(III)NTA<Fe(III)EDTAOH>Fe(III)EDTA>Fe(III)CyDTA>Fe・(III)DTPAであった。鉄(III)キレートのアスコルビン酸酸化における触媒活性の大きさの順序は,これらのキレートを触媒としたときのかフェニレンジアミンの酸化的重合反応における,活性の大きさの順序とよく一致し,鉄(III)キレートの安定度定数がほぼ1020で活性極大に達する。得られた実験結果に基づき,鉄(III)キレートによるアスコルビン酸の接触酸化の機構を推定した。アスコルビン酸過剰の場合には,鉄(III)キレートが速い反応でアスコルビン酸を酸化し,その結果生成した鉄(II)キレートが酸素酸化する段階が律速であることが明らかとなった。鉄(II)キレートの酸素酸化の速さが,鉄(III)キレートの触媒活性を支配する主な因子であり,その段階はいくつかの反応経路を持つことがわかった。
著者
江島 清 湯浅 真 西出 宏之 土田 英俊
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1988, no.11, pp.1846-1851, 1988-11-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
24

2-[trans-2-[[L-[2-hexadecylcarbamqy1-1-[[3-(2-methyl-1-imidazoly1)propy1]carbamoyl]]ethyl]carbamoyl]ethenyl]-5,10,15,20-tetrakis(α,α,α,α-o-pivalamidophenyl)porphyrinatoiron(II)[1]は界面活性剤であるポリ(オキシエチレン)誘導体やリン脂質との相溶性がよく, 高い効率でミセルやリポソームに包埋され, 水溶液に可溶化した。ミセルまたはリポソームに包埋した [1] の水溶液中での酸素および一酸化炭素の結合親和性はそれぞれ 30~40mmHg, O.02mmHg で, 赤血球のそれらに類似した値であった。酸素および一酸化炭素の結合・解離速度定数も赤血球の値に近かった。
著者
江島 清 長谷川 悦雄 松下 洋一 西出 宏之 土田 英俊
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1988, no.11, pp.1836-1845, 1988-11-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
14
被引用文献数
1

3種類の 2-位置側鎖にイミダゾリル置換基をもつ 5, 10, 15, 20-tetrakis(α, α, α, α-o-pivalamidophenyl)porphyrinatoiron(II) 誘導体 [12], [14] および [15] を合成した。5, 10, 15, 20-tetrakis(α, α, α, α-o-pivalamidophenyl)porphyrin[1] の銅(II) 錯体 [2] は, Vilsmeier 試薬と反応して 2-ホルミルポルフィリナト銅(II) 誘導体 [3] を与えた。[3] を濃硫酸で処理して銅が脱離した [4] を得た。これは, Knoevenagel 反応で 2-(trans-カルボキシエテニル)ポルフィリン誘導体 [7] を, 水素化ホウ素ナトリウム還元で 2-(ヒドロキシメチル)ポルフィリン誘導体 [5] を与えた。[5] にホスゲン, 1-(3-アミノブロピル)イミダゾール, および臭化鉄(II) を順次反応させて [12] を得た。[7] の鉄(III) 錯体 [13] に2種のイミダゾール誘導体をアミド縮合させて, [14] および [15] を得た。[5] と比較して [14] と [15] は, 鉄(II) フリーの状態で不安定であり, 置換基の種類によってイミダゾリル基をもつ 5, 10, 15, 20-terakis(α, α, α, α-o-pivalamidophenyl)porphyrin の安定性に差が見られた。
著者
江島 清 長谷川 悦雄 松下 洋一 西出 宏之 土田 英俊
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1988, no.10, pp.1713-1718, 1988-10-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
10

5,10,15-tris(α,α,α-o-pivalamidophenyl)-20-[α-o-[4-[[12-(1-imidazelyl)dodecyl]carbamoyl]-2,2-dimethylbutanamido]pheny1]porphyrinatoiron(II) [9] を合成した。5,10,15,20-テトラキス(α,α,α,α-o-アミノフェニル)ポルフィリン [4] に 1.2当量の4-エトキシカルボニル-2,2-ジメチルブタノイルクロリド [3] および過剰量のピバロイルクロリドを順次反応させたのちエステルを加水分解し, 5,10,15-tris(α,α,α-o-pivalamidophenyl)-20-[α-o-(4-carboxy-2,2-dimethylbutanamido)phenyl]porphyrin [7] を得た。これに 1-(12-アミノドデシル)イミダゾール [7'] を縮合させて, 5,10,15-tris(α,α,α-o-pivalamidophenyl)-20-[α-o-[4-[[12-(1-imidazolyl)dodecyl]carbamonl]-2,2-dimethylbutanamido]Pheny1]Porphyrin [8] を得た。この化合物は化学的に安定であり, 対応する既報の 5,10,15-tris(α,α,α-o-pivalamidophenyl)-20-[β-o-[5-(1-imidazolyl)pentanaido]phenyl]porphyrin が光と酸素の共存下で迅速に分解するのと対比される。[9]のとり得る立体配座をあわせ議論した。
著者
江島 清 松下 洋一 長谷川 悦雄 西出 宏之 土田 英俊
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1988, no.4, pp.518-521, 1988-04-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
18
被引用文献数
1

シクロデキストリンをかぶせた構造のヘム誘導体(以下CD結合ヘムと略記する)を,鉄(II)プロのなトポルフィリンIX(ヘム)の6-,7-位プロピオン酸とα-シクロデキストリン(以下CDと略記する)の第一級ヒドロキシル基をエステル結合またはウレタン結合により結び付ける反応から合成した。CD結合ヘムへ軸配位したイミダゾールの配位平衡定数はヘムの約1/100に低下,,CD結合側からの軸配位がCDの立体障害によって妨げられることを観測した。高分子2一メチルイミダゾールが配位したCD結合ヘムは,-30℃ の水中で寿命の長い酸素錯体を生成した。これらの結果は,CDがヘム面上にかぶさった立体構造を支持する。CD結合ヘムを生体内酸素輸送の目的でラットに静脈内投与した場合,急性毒性はヘムに比較していちじるしく低下する。
著者
土田 英俊 真田 茎 森部 和彦
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
工業化学雑誌 (ISSN:00232734)
巻号頁・発行日
vol.74, no.7, pp.1449-1452, 1971-07-05 (Released:2011-09-02)
参考文献数
1

N, N, N', N'-テトラメチルエチレンジアミン (TED) と二塩化-p-キシリレン (XDC) の逐次メンシュトキン反応における重合速度を考察した。反応の進行につれ速度は小さくなるが, これは官能基濃度の減少, 生長鎖荷電部が末端アミノ基の窒素弧立電子対を部分的に引き寄せその求核攻撃力を弱めることにより二次反応速度定数が漸減するためと考えられる。溶媒効果を次表に示した。DMSO は ε の関連だけでは説明できない促進作用がある。これは分極している DMSOの δ+性イオウと XDC の塩素とが静電相互作用を及ぼし, C-Cl 結合を弛緩する過程が反応に関与するため TED の求核攻撃を容易にするからと考えられる。
著者
長谷川 悦雄 土田 英俊
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子 (ISSN:04541138)
巻号頁・発行日
vol.38, no.7, pp.728-731, 1989-07-01 (Released:2011-10-14)
参考文献数
24
被引用文献数
4 4
著者
藤森 行雄 金子 隆司 西出 宏之 土田 英俊
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
vol.50, no.6, pp.485-488, 1993-06-25 (Released:2010-11-22)
参考文献数
12
被引用文献数
2 6

カンファーキノン (CQ) とジメチルアミノエチルメタクリレート (DMAEMA) は光重合型歯科用レジンに重合開始剤として応用されている. CQおよび各種アミンの存在下におけるMMAの重合をモデル系として, 光照射によるCQのカルポニル基の消費率, ラジカル挙動, ポリマーの収率からラジカル重合開始能を考察した. CQとDMAEMAは窒素下での光照射によりCQラジカルアニオンを生成した. 光照射によるCQのカルポニル基とCQラジカル信号強度の減少率はポリマーの収率に依存し, CQラジカルの水素引き抜き反応により重合が進行することが示唆された. 一方, 大気下での光照射ではCQのカルボニル基の消費率は少なく, ポリマーの収率は低下した. 大気中の酸素により開始反応が阻害されることが明らかとなった.
著者
土田 英俊 篠原 功 神原 周
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
工業化学雑誌 (ISSN:00232734)
巻号頁・発行日
vol.66, no.6, pp.824-827, 1963-06-05 (Released:2011-09-02)
参考文献数
6
被引用文献数
3

スチレン- 四塩化炭素系のテロメリ化反応により, 重合度範囲3~400のオリゴスチレンを合成した。反応はAIBNを開始剤とし, 重合温度80および60℃で実施した。[CCl4]/[Styrene] が0.2~50の範囲, 温度80℃ では生成物の分子量は300>Pn>3となり,生成オリゴスチレンは一定の重合度分布を持つ帯電現象の著しい白色の粉末である。両末端の塩素定量値と氷点降下法で測定した平均重合度を比較して,生成物がα,α,α,ω-四塩化物であることを確かめた。氷点降下法による数平均分子量と25℃におけるベンゼン溶液の極限粘度を測定して, 次の関係式を得た。[η]=3.64×10-4M0.64これらの結果から必要とする平均重合度のオリゴスチレンを合成する条件が得られた。
著者
土田 英俊 篠原 功 神原 周
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
工業化学雑誌 (ISSN:00232734)
巻号頁・発行日
vol.66, no.6, pp.828-831, 1963-06-05 (Released:2011-09-02)
参考文献数
6
被引用文献数
2

四塩化炭素-スチレン系のテロメリ化反応で得られた,平均重合度約40のオリゴスチレンの分子量分布を測定した。分別は,溶離型カラムクロマト法によった。20φ×2000mmの硬質ガラス管に160~200meshに整えた石英粉,シリカゲル粉を充填したカラムを使って分別効果を検討した結果,この種のオリゴマーについては後者の方が分別効果が大きいが,実用上はいずれも効果的に分別できることがわかった。展開剤にはMeOH-MEK系を連続組成変化するようにして用い,分子量分布,試料の数平均分子量と極限粘度の関係を検討した。この結果,溶離クロマト法は低重合体の分別,分子量分布測定に有効であり,再現性もよいことが明らかになった。オリゴスチレンの分子量分布曲線は,ポリスチレンのそれと比較して正規分布に近いようである。分別オリゴスチレンの数平均分子量とベンゼン溶液25℃で測定した極限粘度の関係式として,次式を得た。[η]=3.03×1mm-4M0.62