著者
藤江 俊彦
出版者
パーソナルファイナンス学会
雑誌
消費者金融サービス研究学会年報 (ISSN:13493965)
巻号頁・発行日
no.5, pp.131-137, 2005-09-30

最近になって企業の社会的責任がCSRとして注目されるようになった。だがCSRは経営学の世界ではもう長い間の課題でもあった。ここにはCSRについての十分な議論が欠落していたように見える。近年は多くの学者や実業家などから、グローバル社会からの多様な要請、企業不祥事の多発、規制緩和の動きなどによって組織経営におけるCSRが受け入れられるようになってきた。私が強調したい点は、CSRは単なる営利ビジネスの否定的なインパクトではなく、企業ブランドを創造するなど企業価値を向上させることである。株主価値の最大化は企業価値の創造と同等のものとは言いがたい。実際のところ企業価値は株主価値、顧客価値、社員価値などのマルチステークホルダーの価値を最大化するものでなければならないのである。