著者
藤田 英美 加藤 大慈
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.325-337, 2008-09-30 (Released:2019-04-06)
被引用文献数
2

近年、統合失調症患者の体重増加の問題が指摘されている。それに対してさまざまな栄養・運動管理プログラムが行われているが、その効果を長期的に検討した報告は少ない。そこで、精神科デイケアを利用中の統合失調症患者を対象に、10セッションで構成される栄養・運動管理プログラムを実施し、その(1)実施前、(2)実施後、(3)2か月後、(4)6か月後、(5)12か月後に、身体指標として体重とbodymassindex(BMI)、認知指標としてHealthyEatingSE尺度、行動指標として食事記録、日常的な食生活および運動生活の評価を用いて、効果の検討を行った。その結果、12か月後まで追跡調査を行うことができた5例全員において、プログラム終了の12か月後には体重、BMI、食生活の自己管理に対するセルフエフィカシー、食生活の改善を認めた。その一方で、運動生活の改善は持続せず、プログラムを定期的に実施して関心を促すなどの工夫が必要と考えられた。