著者
小島 悦子 藤長 すが子 草薙 美穂
出版者
日本看護技術学会
雑誌
日本看護技術学会誌 (ISSN:13495429)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.43-50, 2018 (Released:2018-08-20)
参考文献数
25
被引用文献数
2

本研究の目的は, 温タオル清拭, 石鹸清拭, 清拭料清拭, 重曹清拭の4方法について, 皮膚表面pH, 油分量, ATP値の減少率, 皮膚表面温度および主観を比較し, 清拭方法による影響を評価することである. 調査方法は, 準実験デザインとし, 健康な成人男女15名全員に4方法の清拭を無作為の順番で実施した. 結果, すべての清拭方法において, 清拭前とくらべて清拭直後に末梢である第3指腹部の皮膚表面温度が上昇し, ATP量が減少したが, 重曹清拭は温タオル清拭や石鹸清拭とくらべ有意にATP減少率が低かった. 皮膚表面pHは, 温タオル清拭, 泡立て石鹸清拭, 清拭料清拭において入浴後と同じような経過をたどった. 主観的評価において, すべての清拭において爽快感, 快適感が得られた. 臨床では, 温タオル清拭を日常的に行いながら, 皮膚の汚れに応じて石鹸清拭を選択する必要があるが, いずれの方法においても清拭後の皮膚ケアが重要と考えられた.