著者
藪田 拓哉 佐々木 淳
出版者
日本アニメーション学会
雑誌
アニメーション研究 (ISSN:1347300X)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.25-35, 2021-03-31 (Released:2021-11-06)
参考文献数
18

本研究では、アニメーション療法の基礎研究として、アニメ視聴によって視聴者に生じた心理学的体験とその影響を実証的に分析、分類することを目的とし、アニメ視聴による心理学的体験と影響の構造化を行った。その結果、アニメ視聴による心理学的体験は【気持ちの高揚】、【気晴らし】、【共感的反応】、【現実への還元・関連】、【作品の構成要素に対して抱く魅力】、影響は【ポジティブな気持ちへの自己変容】、【自身のあり方の模索、変化】、【作品への関与と作品を越えた活動】で構成された。本研究によりアニメの心理学的体験はさまざまなポジティブな体験で構成されることが明らかとなった。またアニメの心理学的体験からその影響に至る体験過程についての示唆が得られた。