- 著者
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小野 紘貴
杉野 圭史
渡邉 菜摘
安藤 真弘
蛇澤 晶
坪井 永保
- 出版者
- 日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会
- 雑誌
- 日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会雑誌 (ISSN:18831273)
- 巻号頁・発行日
- vol.41, no.1_2, pp.86-90, 2021-10-01 (Released:2022-01-26)
- 参考文献数
- 19
症例は 78歳,女性. X年 1月下旬から著明な全身倦怠感,食欲不振が出現し当院消化器科を受診.胸部 -骨盤造影 CTで肺門,縦隔リンパ節の腫大を認め当科へ紹介となった.気管支鏡検査を施行し,気管支肺胞洗浄でリンパ球比率 46.4%およびCD4/8比4 .7と上昇を認めた. #4Rリンパ節からの生検で非乾酪性類上皮細胞性肉芽腫を認めた.頭部 MRI検査で下垂体柄の腫大を認め,内分泌学的検査でLH,FSH,TRH, ACTHといった下垂体前葉ホルモンの低下を認めた.ガリウムシンチグラフィで両側肺門部,縦隔リンパ節,両側涙腺および耳下腺に対称性の集積を認めた.以上から下垂体機能低下症を合併した全身性サルコイドーシスと診断し X年 2月より PSL 60mg/日の内服を開始した.また尿崩症の合併に対しデスモプレシン点鼻を併用した.治療開始後,食欲不振,全身倦怠感は消失し同年 2月の CT検査では両側肺門,縦隔リンパ節腫大は消失し多尿も改善を認めた.