- 著者
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鈴木 将
水町 秀之
行 卓男
宮澤 正明
- 出版者
- 日本毒性学会
- 雑誌
- 日本毒性学会学術年会 第49回日本毒性学会学術年会
- 巻号頁・発行日
- pp.P-93E, 2022 (Released:2022-08-25)
近年の動物実験に対する法規制や動物愛護の観点から、動物を用いない皮膚感作性評価手法が求められる。2021年、代替法を組み合わせることで動物実験と同等の感作強度予測が可能とされるdefined approach (DA)としてITSv1/v2がOECD Guideline 497へ収載された。一方、既存DAの適用限界として難水溶性物質およびpre/pro-haptenが挙げられ、これに対し、我々はヒト皮膚モデル(RhE)を用いた代替法Epidermal Sensitization Assay (EpiSensA)とin silicoモデルTIMES-SSを組み合わせた新規DAとしてRhE based Testing Strategy (RTS)を検討してきた。RTSはITSv1/v2と同様、スコアベースのDAであり、動物実験LLNAを基にしたGHS強度分類(1A, 1B, NC)に対して一致率78.7%とITSv1の一致率71.2%と同等の予測性を有している。一方で定量的リスクアセスメントにおいては、LLNAデータより導出される EC3値が有用であるが、DA単独では感作強度を3分類で判定するためEC3値の精緻な予測ができない。また、リスクアセスメントにおいては過小評価の回避も重要であるが、これまでの検討からRTS単独ではEpiSensA構築時の化学物質データセットに対して18物質で過小評価が確認されている。そこでRTSと類似化合物から毒性を予測するread-acrossを組み合わせることで、EC3値の精緻な予測と過小評価の回避が可能な評価体系の構築を目指した。最初に評価対象化合物に対して適切な類似化合物をin silicoツールを用いて探索した。続いて評価対象化合物、並びに選ばれた類似化合物に対してRTSを実施した。その後、類似化合物のEC3値と比較してRTSの結果の信頼度が高い場合に類似化合物のEC3値を評価対象化合物に適用することでpredicted EC3値 (pEC3値)を導出した。本評価体系の有用性を確認したところ、GHS1Bに分類される感作性物質において精緻なpEC3値の導出が可能であること、さらにRTS単独で過小評価していた全18物質についても過小評価の回避とpEC3値の導出が可能であることが確認でき、本評価体系の感作リスクアセスメントへの有用性が示された。