著者
袖井 智子
出版者
東北福祉大学
雑誌
東北福祉大学研究紀要 (ISSN:13405012)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.79-91, 2014

地域や職場,家庭でのつながりが薄れ「社会的排除」が顕在化し,子どもを取り巻く環境も大きく変化している。2006(平成18)年12 月,教育基本法が改正され,翌年7月には,「児童生徒の教育相談の充実について」という報告書がまとめられた。これにより,相談体制の重要性が認識され,翌年,スクールソーシャルワーク活用事業が導入されるようになった。 そこで本稿では,子どもを取り巻く状況の変化に伴い,2008(平成20)年にスクールソーシャルワーカー活用事業として開始されたスクールソーシャルワーカーについて,スクールソーシャルワーカーに関する取組,スクールソーシャルワーカー活用事業,スクールソーシャルワーカーの専門性について検討し,スクールソーシャルワーク活動を展開するために必要となる視点は何かについて考察した。 結果として,スクールソーシャルワーク活動を進めていくためには,スクールソーシャルワーカー活用事業等の体制整備が必要であること,関係諸機関との連携の充実が急務であること,専門的な教育を受けた質の高いスクールソーシャルワーカーが不可欠であり,大学等専門機関における養成が急がれることが明らかになった。